夏合宿B隊:越後 黒又沢五竜沢

goryuusawa黒また沢山域 黒又沢五竜沢
日 2016年8月13日(土)〜15日(月)
メンバー nave take(CL)、gaku

8月13日(土)
天気 晴れ時々曇り
行程 十字峡登山センター(6:15)〜五竜沢出合(8:00)〜両門の滝(14:00)〜幕営地(17:00)

前夜21:00に相模原発。関越経由で六日町ICから十字峡へ。
十字峡には1:00頃到着。
この日はなんとか流星群がピークらしい。眠る前わずかな時間、満天の星空を見上げると流れ星がふたつ流れた。

5:00にはほとんど明るくなるが、6:00すぎに遅めの出発。中ノ岳登山口から3m登ると、黒又沢への分岐が左にあり、ダムの脇を黒又沢へつたっていく。
早朝だが、黒又沢の水は冷たくはない。今年は積雪が少なく、雪渓はかなり少ないと言われている。なんとなくだが水温からも雪渓の少なさを感じた。

荒涼としたというか原始的な印象の広いゴルジュを黙々と進む。昨年遡行した日向沢、明日の下降ルートとして予定している御神楽沢を通過していく。

ヘツリ

狭くなったゴルジュ帯の淵をへつりながら、徐々に緊張感が増していく。五竜沢はガイドブックによると中級の沢とあるが、果たして何を基準にしたものなのか。

navetakeは越後の沢は、一昨年の高倉沢と昨年の日向沢を遡行している。丹沢や奥多摩などの沢とは別物のような印象だった。gakuさんは昨年、灰ノ又と恋ノ又を遡行しているが、経験の少ない私たちにとって今回はどんな山行になるのか。

鉱山の名残の鉄橋と、左岸側壁からダムの放流のような大量の水が注ぐ箇所を横目に、進んでいく。右岸から曲沢、続いて五竜沢が合流してその先は、深い淵となっていて行く手を阻んでいるようだった。

五竜沢出合まで2時間。1時間30分くらいで来れたらと考えていたが、そこから甘い見積もりだった。

遡行図によると、出合から3m、5m、2m、6m・・・と連瀑が続く。「登攀的な沢」というガイドブックの通り、滝の登攀力が問われると思っていたが・・・。

7月に、丹沢の中では困難度が高いと言われている同角沢を主要な滝を全て直登して遡行していたこともあり、ある程度自信を持って臨んだ部分もあったが、それはあまり通用しなかった。

一見登れそうな滝も、取り付いてみると手掛かり足掛かりが乏しかったり、外傾していたり・・・。また、いつもは当たり前に存在しているハーケンやお助けスリングなどの残置物が一切見当たらない。

ここは無理をしないでと、高巻きに移ると・・・今度はマツコ、いや私たちの知らない高巻きの世界。高巻きという名の登攀。ホールドは、信頼度の高い潅木と、根強そうな草付き。スタンスは、不安定な泥壁。

もともと高巻きのセンスがない(navetake)うえに、落ち口へのトラバースも側壁の傾斜のプレッシャーから、どんどん上部へ登っていく。藪の中を15m〜30mほどの懸垂で沢へ戻るということを何度か繰り返した。

踏み跡らしきものは、まったくと言っていいほど見当たらない・・・。

堰堤状の滝 結局登れず

堰堤状の滝 結局登れず

両門の滝

両門の滝:中央左から右の本流へ抜けた

 

唯一、両門の滝25mをnavetakeが(いつも以上にビビりながら)リードしたことで、少しは溜飲が下がったか。ここも残置は皆無。ハーケン4本とナッツ1でランニングをすべて作って登る。滝上では、ハーケンとナッツでビレイ点を構築した。

(たしか)両門の滝の次の滝を高巻いて降り立ったゴーロの河原で本日の行動終了。

早い段階で受傷していたgakuさんの踵は、表面が内出血して少し腫れていた。滝に取り付いたが登れず、やや無造作に釜に降りてしまっため沢床に当たって受傷してしまった。痛みはそれほど強くはないようだ。

天気は良く、河原には乾いた薪が豊富で、快適な幕営地だった。軽量化のため、共同のテントは持参しておらず、各自ツェルトビバークをする。

Day1 ビバーク地

Day1 ビバーク地

 

8月14日(日)
天気:曇り時々晴れ
行程:ビバーク地(6:00)〜稜線登山道(14:00)〜五竜王大神の池(15:15)

この日もすっかり明るくなってから遅めの出発。天気はまずまず良さそうだ。
と、ビバーク地から5分で7mの直瀑前へ。落ち口の両端は数メートル切り立っていて、威圧感がある。
朝イチから容赦などない。左岸からお勤め開始である。30mほどルンゼ状を登り、尾根に出て反対側の沢床へ懸垂で下降した。
昨日1日を経て、私たちは多少なりとも諦観してきていた。これは修行なのだ。
時間が順調に過ぎていくなか、ジリジリと進んでいくしかない。

最後の大滝になる25m滝は、ガイドブックには左壁をハーケン3枚で登ったとあり、navetakeがリードトライするが、細かいスタンスとホールドしか見つけられない。左端の凹角を7〜8mほど登ってみたが、上のややせり出した岩の上はスラブで手掛かりがなさそう・・・。右へトラバースするには、ロープの流れが悪い。結局、ハーケン1枚残置して下降、左岸を巻いた。

昨日もそうだったが、取り付いて結局登れないと、その分時間のロスになる。登れるかどうかの見極め、時間配分もなかなか難しいところなのだろう。

それにしても、やはり雪渓は全く見られない。標高1000m付近で雪塊が見られたが、1週間もすると溶けてなくなってしまうかもしれない。

少しずつ水量が減り、ゴーロ帯に移っていく。稜線はまだまだ遠い。巨岩の間を縫うように攀じのぼる。水線は、消えては現れ、現れては消える。結構終盤まで残っていた。

巨岩を縫うように攀じ登るgakuさん

巨岩の間を攀じ登るgakuさん

 

稜線への最後の藪漕ぎ

稜線への最後の藪漕ぎ

五竜岳へ伸びるゴーロ帯から、阿寺山への稜線へ向かう登山道のような支沢に入る。草付きの藪をかき分けて稜線を目指す。アブがうるさい。gakuさんが、阿寺山方面へ絶妙にライン取りをしながら、一般登山道に出ることができた。

すでに14:00。今日中に御神楽沢を下降するのは難しいだろうと話し合っていた。
稜線に出て携帯のアンテナが立ったので、行動予定の変更をメールする。ついでに、明日の天気予報をチェックすると、午後から雨の予報。
15:15、御神楽沢への下降点である、五竜王大神の池に到着。
明日の天気を考え、できる限り御神楽沢を下降しておいたらとも考えたが、地形図上では平坦な箇所はなく、無理をせず、池のほとりでビバークすることにした。

予定では1泊2日の行程で、できる限りの軽量化の考えから、十字峡を出発する際に、予備食はアルファ米1食分としたため、夕食はコンソメスープに高野豆腐を入れたもので済ませる。アルファ米は明朝に残しておいた。
アプローチシューズも、御神楽沢の下降ならいらないだろうと十字峡に置いてきたが、長時間の沢靴の歩行に疲労度が増していた。
軽量化とのバランスを考えていかなければならないが、これも経験だろう。

アルコールもなく、宵の口からそれぞれ、シェラフカバーとツェルトと山の闇にくるまって疲れを癒す。明日は、3:45起床予定とした。雨が降り出す前に下山したい。

夜半、小雨が降り出す。天気の悪化が早まったのか。夜明けまで断続的に降っていた。
navetakeは空腹と、降雨でツェルトを頭まですっぽりとかぶる息苦しさから、熟睡ができない。

gakuさんは、いびきをかいて気にする様子はない。

 

8月15日(月)
天気:小雨のち晴れのち雨
行程:五竜王大神の池(6:00)〜阿寺山〜山口(9:30)

本日8月15日、終戦記念日。
明るくなって雨は止んでいるが、空は所々雨雲がかかっていてはっきりしない。
夜の雨で、沢の下降は難易度が増していると考え、阿寺山経由で下山することを決めた。御神楽沢の下降は核心の一つと考えていたが、正直ほっとしていた。

下山し始めると、次第に雲が薄くなっていく。沢筋に入ると日が出てきていた。天気の変化が前倒しになったのだろうか。
残念な気持ちはあまりなかった。下部に大滝を持つ傾斜の強い御神楽沢を下降するには、私たちには不安要素が多いと感じていた。

広堀川の途中の露天風呂のような釜に浸かって汗を流し、山口へ下山した。

午後からは、また雨が降り始めた。

 

あとがき

2日目の朝、1時間早く行動を開始していたら、滝を登れるか登れないかの判断をもっと適切に行えていたら、もっと御神楽沢について下調べが出来ていたら、予定通り御神楽沢を2日目に下降できたかもしれなかった。

なかなかチャンスは限られているので、そんな積み重ねを少しずつでも大事にしていけるようにしたい。

 

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