カテゴリー別アーカイブ: 活動記録

会員有志の活動記録です(全ての山行記録は活動報告をご確認ください)

個人山行つづら岩

今回は、奥多摩の岩登りのゲレンデのつづら岩にマルチピッチの練習に来ました。

暁山岳会から離れて、相模原市山岳協会所属の岩登りに強い「やまじ会」から、岩の伝道師「Mさん」と「Kさん」と新人のHくん」、相模健康山の会さわらびから、バックカントリーから沢登り、岩登りと何でもこなす「KJくん」と5人のパーティで、千足バス停にある有料駐車場で1000円を払い早速入山。
山肌

いまのところ、他の岩登りのパーティは見当たらない。貸切だといいなぁ。
つづら岩は岩までのアプローチが長く、最後がものすごい急登。彩滝を過ぎると取付く「馬頭刈尾根」は馬の首のたてがみ部分を登るような急登でした。このまま、山頂まで突き上げてしまうのではないかと思ったが、2時間ほど歩いてようやくつづら岩の基部に到着。11月も最後の週末なので、日陰はピリッとした寒さ。見上げるつづら岩は切り立っていて、迫力満点。MさんとH君と私がダブルロープで、パーティを編成し、KさんとKJ君はシングルロープでザイルを結んだ。
山登

最初に取り付いたのは、左ルート。簡単だよというが出だしから渋い。
何とか引き上げてもらい山頂へ。山頂から見る南面の富士山はとっても綺麗。今年は遅れていたが5合目付近まで、雪も積もっているように見える。
「十分楽しめたので、もう帰ってもいいくらいだ。」と軽口をたたきながらの50メートルロープをダブルで一気に懸垂下降。
山高い

次は、シングルロープで残置してもらった右クラックルートを登る。高度感は満点だ。隣で一般ルートを登るKさん、KJ君のペアが四苦八苦している。上部のトラバースが嫌らしい様子。では次は「一般ルートを登りましょう」とMさんに声を掛けられたが聞こえないふりをした(笑)出だしが少し厳しいが、トラバースまでは快適。問題のトラバースも、高巻きするように少し上がってからトラバースすると、何とか通過することが出来た。最後の詰め上がりの箇所が、ホールド少なく、ちょっと厄介。H君もだいぶ時間を掛けていた。
トップロープ

その後も、トップロープを使ってアイゼン・アックストレーニングなどを行い。気が付くともう16時になっていた。
皆ヘッドランプを準備して下山。下山は1時間ちょっとで降ることが出来た。みな、愉しい岩登りに満足げだ。
完登

こうした山岳会を跨いだ交流もまた、山岳会の醍醐味だと思う。もっと練習をして、他の山岳会の皆さんにも負けないように頑張らなくてはと思う。(文:コイケちゃん)

八海山集中・高倉沢 DAY2

9月15日(日)晴れ後曇り後雨

幕営地(5:10)~尾根取付(7:30)~入道岳北尾根上(10:50)~登山道上(11:35)~入道岳(10:50)~千本檜小屋(13:00-13:25)~八海山ロープウェイ山頂駅(14:55)

 

朝3時半起床。直後星々の瞬きは皆無だったが、徐々に煌めき出す。準備しているうちに周囲は明け始め、不要になったヘッ電をザックに収めて、テン場を後にした。

直後からは延々とゴーロ帯が続いていて、難無く高度を上げて行く。昨日行動不能に陥った勝田も、確り休憩を取ったためか、快調なペースで進む。何の不安も感じず、沢筋を登り詰めて行ったが、そのうち正面は大岩壁に遮られてしまった。左側から回り込めるかとも思ったが、その手前が少し厳しそうで行き詰まる。そこで、一旦沢を随分戻ってみて、別の沢筋があるのでは?と周囲を見渡すが、顕著な沢筋は発見出来ず。仕方が無いので、沢の右岸の緩いスラブ状の斜面を登り詰めてみる事にした。
DAY2

これをグングン登って行くと、一旦平坦地に飛び出る。此の辺りから沢の源頭は確認出来たので、沢に戻る選択肢もあったのだが、そのまま尾根を登り詰める事とした。緩い草付きを登って行くと、更に先は草叢の急斜面と成り果てる。これは勝田には厳しいと感じ、ずっとロープ確保で登攀、30mロープで、何と7、8ピッチ程のロングランとなり(小池と森のつるべ。初心者居なければ、ロープは出さない処)、再度勝田はぐったりの状況となって来た。それでも、自ら生きて戻る為に、最後まで頑張って貰った。何とか尾根上に乗り上げると、斜度は緩いが両際は切れ落ち、未だ結構厳しい。慎重に通過していく。この尾根が結果的に入道岳北尾根だったよう。少し尾根線を進んだ後、その後はトラバース気味に斜面を進む事が出来て、グングン進んで行くと、漸く登山道に飛び出る事が出来た。勝田が此処で休憩している間に、小池と二人で入道岳を往復。それでも、既に千本檜小屋正午集合の時間には間に合いそうになく、休む間も無く急いで出発した。

登山道を快調に進むと、八ツ峰の登攀ルートとの分岐となる。唯この日は、雨が降り出しそうな事もあり、迂回路を辿る事とした。迂回路といっても、梯子や鎖が延々と続き、結構嫌らしい。そうこうしている内に、雨が降り出し、更には尋常で無い土砂降りとなって来た。最後まで苦しめられる山行となってしまった。迂回路を半分程進むと、別ルートから既に千本檜小屋に到着していた國井が助けに来てくれて、勝田のザックを背負ってくれた。これは本当に助かった。これでペースも上がり、集合時間に遅れる事1時間で、何とか千本檜小屋に辿り着く事が出来た。大分他のメンバーは既に下山してしまったようだが、3名のみ残ってくれた。残ったメンバーと我が隊全員で、小屋の中で55周年記念登山の写真を収め、未だ土砂降りの中、一緒に下山を開始した。
55周年

常軌を逸した大雨に祟られる中、登山道は恰も沢の如く、物凄い濁流が流れ下って行く。もうどうしようも無いので、水流中にばしゃばしゃ入り込んで下って行く。それでも女人堂辺りまで来ると、大分降り方が弱まって来て、少し安心した。全員休む事無く下り続け、八海山ロープウェイ駅に辿り着いたのが14:55頃。何とか15時発のロープウェイに乗り込む事が出来た。

(記 森秀光)

八海山集中・高倉沢 DAY1

【A隊】水無川水系高倉沢
期 日:2024年9月14日~9月15日
参加者:L森秀光、小池重憲、勝田浩一

9月14日(土)晴れ時々曇り
千之沢小屋(6:45)~水無川河畔(7:30)~高倉沢出合(7:40)~高倉滝(10:45)~横長巨岩(12:00)~幕営地(標高約1200m地点)(14:50)

八海山ロープウェイ山麓駅に一旦集合し、1台に乗り合わせて千之沢小屋へ。車道は山塊をぐるりと回り込んでおり、30分程の時間を要した。駐車場は広大だが、既に10台以上駐車されていた。到着時準備中だった沢登り装備の数名パーティーは早々に出発していった。我々も、遅れる事10分程で、現地を後にした。
八海山1

暫くは林道を進むのだが、所々途切れ草付きの道となるので、林道のイメージは余り無い。30分程歩くと、オツルミズ沢が左から流入してくる。この少し先で、鉄柱が立つ辺りが高倉沢出合と思われるが、何処も背丈以上の草叢に覆われ、入渓点の雰囲気が無い。そこで、もう少し先の堰堤近くまで歩いてみたが、道はどんどん川床から離れるばかり。そこで、一旦鉄柱の処まで戻ってみて、草叢を掻き分けて踏み込んでみると、地面が少し掘れ込んでいる。試しに此れに沿って下ってみると、難無く水無川河畔に飛び出る事が出来た。此処を徒渉した後、その直ぐ先上流側が高倉沢出合であった。
八海山2

出合直後は巨岩が連綿と連なるゴーロ帯となる。15分程遡行すると、釜を持つ5m滝となる。此れは、泳ぎを交えて左岸のクラックに取り付き登る。沢慣れていない勝田の為に、後続はロープ確保。その後も、小滝は随所に出現。特に難しくはないが、ピリリと辛くて面白い。また、所々巨岩が行く手を遮る。此れの乗越には難儀させられた。其の後7m程の滝も現れるが、どれも階段状で問題無。3時間程で此の沢最大の滝である高倉滝となる。10m程だろうか、これも階段状で難無く乗り上げる。この直後が一寸したナメになっているが、ナメは粗此処だけだったろうか?
岩1

丁度正午頃には軍艦のような横長巨岩に遭遇。こんな途轍も無い岩が、何処から辿り着いたのだろうか?更にその先で、本遡行中唯一だった雪渓が御目見え。それでも、横目に睨んで、その左脇を通過するのみだった。この辺りから、経験の浅い勝田の疲労が濃くなる。
地図

一旦20分以上休憩してみて、再度歩き始めてみたが、その先で沢全体を覆い尽くす巨岩が出現。此れを左岸から巻いていったが、この巻きが結構厳しくなり、ロープ確保の上での登攀となったが、その途中に再度動けなくなってきた。何とか宥め聞かして、巻き切った河畔が、少し平らになっていたので、本日は此処でテント泊とする事になった。
テント

平らといっても、石ころが散在し、このままでは良好とは言えないサイト。全員で大き目の石を取り除き、均してみると、結構快適なテン場を拵える事が出来た。不幸中の幸いであり、結果としては却って悪くなかったかもしれない。楽しい宴会を楽しんだ後、21時頃には就寝した。

福島 一切経山

期日:令和6年8月15日
参加者:サツキ

浄土平ビジターセンター(8:00)~酸ヶ平避難小屋(9:05)~一切経山(9:41)~酸ヶ平避難小屋(10:48)~鎌沼(10:55)~東吾妻山(11:57)~浄土平ビジターセンター(13:35)

天気予報は曇り時々雨。登山天気はⅭ判定。近づいている台風の影響は大きく、浄土平へ向かう道のり、磐梯吾妻スカイラインはすでに雲の中だった。
それでもスタート時雨は降っておらず、ふわりと涼しく風が吹く。その風に時折、軽く硫黄のにおいを感じた。見上げれば、山腹から噴煙が立ち上っている。山頂は雲に覆われているものの、これから活火山へ登るのだと実感し、心が躍る。
避難小屋手前避難小屋の手前で雲がみるみる薄れ、晴れ間が広がる。青がまぶしい。

避難小屋を過ぎるとガレた斜面が山頂まで続く。いつの間にかすっかり雲に覆われて、展望はなく黙々と歩くが、足元の岩礫は見たことのない色合いをしており興味深い。植生も目新しいものばかりだった。

スタートから1時間40分ほどで登頂。直後は真っ白だったものの、しばらくすると視界が晴れ、楽しみの一つ、五色沼を眺めることができた。魔女の瞳といわれる沼の色は、深い深い青だった。
深い青

鎌沼を経由し、東吾妻山へむかう。
山頂までは樹林帯。うっそうとした木々が狭い山道をより狭くしている。背を丸めるようにしてひたすら歩を進める。しかも足元は時折沢のような状態で歩きにくい。山頂からの展望に期待して、30分ほど歩く‥と、森林限界を超え、背を伸ばせるように。晴れれば磐梯山や猪苗代湖まで見渡せる素晴らしい展望と聞いていたが、残念、今回はここも雲の中。だがそんな天気のおかげか他に人もおらず、たくさんのトンボとともに、ゆっくり休憩し下山。
頂上

終始予報通りの空模様だったが、大きく崩れることはなく、期待した展望はなかったものの、心地よい気温のなか、計画の工程を楽しくしっかり歩く事ができた。 (記:サツキ)

槍ヶ岳・三俣蓮華岳 DAY4

【A隊】槍ヶ岳・三俣蓮華岳
期 日:2024年8月10日~8月13日
参加者:Lコイケちゃん、レジェンドM、おんちゃん

8月13日(火)晴
三俣山荘(4:00)~かぶり岩(4:40)~第一庭園(5:00)~茶屋予定地(6:50)~第5吊り橋(7:10)~第3吊り橋(8:40)~ガンダム岩(9:50)~第1吊り橋(10:00)~噴湯丘(10:30)~湯俣山荘(11:20)~名無し避難小屋(12:50)~林道終点(13:20)~高瀬ダム(14:10)=(タクシー)七尾山荘(14:40)下山

伊藤新道は、普段より15㎝程水量が多いとのこと。身長160㎝の方で、腰より上に水が来たら渡渉点を間違えていると教わった。午後から雨予報であったので、計画より1時間程度早めまだ暗い4時に出立した。三俣山荘から尾根の先まではほぼ同じ斜度でトラバースしていく。けもの道を拡げたものではなく、きちんと調査をして計画設計を行って開いた道らしい。第一庭園まではほぼ同勾配であった。道は細いが快適だ。伊藤新道の入口伊藤新道の入口

途中、クマの糞を見つけそのあと低いいびきのような異音を聞いた。クマか?とも思ったが、確認しているうちにクマに出会ってしまっては大変と先を急いだ。尾根から川まではかなりの急登を降る。ここでカップルのパーティとすれ違った。さすがにこの時間は早すぎるので途中ビバークしたのではなかろうか。FIXロープを頼りにぐんぐんと高度を下げる。
ようやく沢に出たが、ここで沢には入らず高巻道を降る。途中茶屋予定地の看板があり、近い将来この付近に避難小屋が出来るそう。ここで避難小屋が出来れば伊藤新道はだいぶ楽になるだろうと思う。第5吊り橋は破損していたので、そこから入水。登りに使用した水俣川に比べて水温はそれほど低くない。所々硫黄臭が強いので地熱のせいか温泉でも流入しているのか。まだ上流域であるため水量も少なく、水深はひざ下程度で、どなたがやってくれたのか渡渉点にはケルンがあるので、悩むことなく渡渉を繰り返した。
沢沿いを降りる沢沿いを降りる

第4吊り橋は不明。第3吊り橋も破損で使用不可。この辺りから渡渉に悩むようになる。水量も下流へ行くにしたがって増える。股まで濡れることもしばしばだった。上がってくるパーティは尾根で会った組を加えても4組ほど。パラパラと云った感。伊藤新道は9月がシーズンだとおんちゃんから教わる。渡歩は深いところで股上渡歩は深いところで股上

その後ヘツリ場の足場は難なくクリアしたが、ガンダム岩で高巻きし過ぎてロープの上に出てしまい行き詰まる。戻って中段を巻いた。硫黄臭が強くなってくると噴湯丘だ。あちこちで温泉が噴き出している。触るとかなりの高温だったので、浅瀬の川の水と混じる辺りを探して束の間の天然温泉を楽しんだ。ヘルメットをしたまま温泉に入ったのは初めてだ。硫黄のにおいを身にまといながら最後の渡渉を終え、湯俣山荘まで戻り、山荘へ下山報告。濡れた装備をほどき、しっかりと休憩した。あとはほぼ水平の下山だ。冬合宿はどこにしようかと、気楽な林道歩きで16時の最終のタクシーを待たずに14時10分にタクシーに乗り込み下山完了した。天然温泉天然温泉を味わう

あとがき

話は戻るが、昨年の夏合宿で暁山岳会のもう一人のレジェンドYさんと三俣山荘に連泊した時に、「伊藤新道」が復活したと聞いた。おんちゃんとも、いつか行ってみたいねと話したことに端を発する。今年の夏合宿の行先を決める際、伊藤新道に行こうかと決めたが、さて伊藤新道を遡った後、どこへ行ってどこを降りるようか。水晶や鷲羽は昨年の夏合宿で登っていたし、雲ノ平では遠すぎるきらいもある。自家用車を利用するので、出来れば登山口と下山口は合わせるかせめてタクシー移動圏内にしたい。
ふと地図を見ると、伊藤新道から硫黄尾根をまたいで「北鎌尾根」が目に留まった。これも昨年の夏合宿で槍ヶ岳に登った際に、山頂から見下ろした北鎌尾根。その時にちょうど1パーティが上がってきて、私たちもその勇者たちに拍手を送ったのを思い出した。いまの経験や技術なら北鎌尾根も行けるんじゃなかろうか。

であれば、湯俣から入山して水俣川を遡行し、北鎌尾根に取り付いて帰りを伊藤新道にしてみてはどうだろうかと思いついてしまった。そう、まさに思いついてしまったのだ。ネットで山行記録を漁ると、やはり思いついてしまった人たちの記録が出てくる。水俣川も湯俣川も沢登りというよりも基本は渡渉する川で、あまり難しくは無さそうなのも幸いしたし、ガチャなどの沢装備はそのまま北鎌尾根でも使えるはずだ。川沿いの遡行は涼しいであろうという目論見もありレジェンドMさんに相談した。Mさんは、残雪期等で北鎌尾根は登っているので、いまさらと言われるかと覚悟したが、以外にも「そろそろもう一度登ってみたかったんだよね。ただルートはよく検討しないと」との回答に不安と安堵の混ざった複雑な心境になったのを覚えている。

暁山岳会の先輩にアドバイスをもらおうと「北鎌は行ったことがありますか」と聞くと「北鎌は、どちらかというと岩登りよりもルートファインディングだ」と教わった。確かに、よく踏み間違えた。槍ヶ岳山頂に至るまで10回くらい間違えたと感じるほどだ。
しかし、久しぶりにワクワクと不安の入り混じるルートであった。計画を練れば練るほど、他者の報告を見れば見るほど「不安」と「行ける」という気持ちがより深まる。取付いてしまえば、エスケープルートは行くか戻るしかない。おんちゃんに不安な気持ちを吐露するたびに、「大丈夫だよ」という。そのたびに不安が強まるのも不思議な感覚であった。

初日は沢の遡行に、2日目が北鎌尾根、3日目が夏休みで最終日が伊藤新道での沢下り。このルートはなかなか気も抜けないようでいて、しかし安息日もあり、最後の最後までワクワクの止まらない名ルートだと思う。下山してから気付いたが、遡行したのが「水」俣川で、下った伊藤新道側は「湯」俣川。どちらも俣川は同じ字を使用している。思い返すと確かに、水俣川は雪解け水でものすごく冷たく、上流に行けば行くほどよく冷えていたが、湯俣川は上流部も少し温い感じ。下流に行けば温泉とも合流してとても温く感じた。命名した人も、この温度差を感じていたのかもしれないと思うと感慨深い。そのうちに、この三俣山荘が舞台の「黒部の山賊」も読んでみようと思う。

最後に終始リードしてくれたおんちゃんは、ルートをよく読んでシッカリとチームを引っ張ってくれて感謝します。また、レジェンドMさんはやはり困った時に抜群の安定感であった。行き詰まることに恐怖を覚える私にとって、無くてはならない安心感を与えてくれた。今回、Mさんが居たから行けたようなもので、だからこそいつかまた誰かが、このルートを行きたいと言われた時には、自力で行けるように経験を積み増ししていかねばならないなと思った。そして、計画段階で参加予定だったゆうさんが直前で参加出来なくなってしまったことは、とても残念だった。いつか行ける時が来たらご一緒します(たぶん)。

槍ヶ岳・三俣蓮華岳 DAY3

【A隊】槍ヶ岳・三俣蓮華岳
期 日:2024年8月10日~8月13日
参加者:Lコイケちゃん、レジェンドM、おんちゃん

8月12日(月)晴
殺生ヒュッテ(6:00)東鎌尾根~槍ヶ岳山荘(6:50)~千丈乗越(7:40)~双六小屋(11:00)中道ルート~三俣蓮華岳(13:50)~三俣峠(14:10)~三俣山荘(14:40)

今日は、移動日である。西鎌尾根を行くので、昨日北鎌尾根を行ったのなら東鎌尾根から行こうということで、殺生ヒュッテから朝一の東鎌尾根に上がる。千丈乗越へ降る途中TJAR(トランスジャパンアルプスレース)の選手とすれ違う。日本の3大アルプスをつなぐトレランのレースだ。聞けばすでに朝のうちに1~3位まで通過したとのこと。三俣蓮華までルートになっているので、多くの選手を応援しつつ、その壮大なルートに挑戦している人たちに、自分たちも励まされた。おんちゃんは「なんでこんな大会に出ちゃったんだろうな」って思うことはありますかなどと、選手に聞いている。失礼な話だが、選手の方も気さくに「しょっちゅうですよ」とユーモアで返してくれていた。頂上2

快晴の天気と気持ちの良い稜線歩き。恐れるものもなく、強い日差しには閉口したが、まさに「夏休み」と云った1日となった。足元をまくり上げていたため、ふくらはぎを強烈に日差しに晒してしまった。靴下の跡が生々しい。三俣山荘では、テントの受付と共に明日伊藤新道を降る旨伝えると、電子申請で伊藤新道の通行届を出した。最新の情報を仕入れつつ、混み合うテン場に2張のテントを張らせてもらい。流れる小川で足を冷やしながら、ビールやワインを頂く、まさに飲んだくれの夏休みだ。
小川は冷たく1分と足を降ろしておけぬが、隣で宴会をしていたTJARの応援に来たというトレランチームの皆さんと意気投合した。九州ご出身の方が多く、「いつか九重山坊がつるで飲みましょう!案内しますよ」と約束した。山の話から離婚した嫁が浪費家だったというもはや人生の話まで、夏休みにふさわしい愉しい時間であった。
頂上3

明日は最終日だが、初めての伊藤新道。いくつかの橋が使えない分渡渉も多いと聞いた。不安と北鎌尾根を歩けた少しばかりの自信と疲れから、日暮れてすぐに寝床についた。翌朝目覚めると今回はシングルウォ―ルのツエルトは、ものすごい結露で、収納ケースに入れても絞ると水が垂れるほどだった。

槍ヶ岳・三俣蓮華岳 DAY2

【A隊】槍ヶ岳・三俣蓮華岳
期 日:2024年8月10日~8月13日
参加者:Lコイケちゃん、レジェンドM、おんちゃん

8月11日(日)晴
北鎌コル(5:00)~天狗の腰掛(6:30)~独標のコル(7:20)~独標(8:20)~北鎌平(10:50)~槍ヶ岳山頂(12:30)~殺生ヒュッテ(14:20)幕営

2日目北鎌のコルで出発前に

朝はしっかり明るくなってから行動をスタート。気分的に緊張感漂う中いきなりの急登。足元が定まり切れないので、常に3点支持の格好だ。通常の山道ならなんて事の無い斜度も、北鎌と云う緊張感からか自身でも慎重に歩いていると感じる。昨日の滑落した際にしこたま打ち付けた臀部は幸い腫れることもなく、痛みも昨夜より和らいだ。ただ、深夜の寝返りには閉口した。寝返りを打つたびに臀部が痛み右側を向いて寝付けない。テントの中でも、普通に座るとひどく痛んだ。とはいえ、すでに本番が始まってしまっているので、痛いとも言っていられない。昨日詰め上げで迷ってしまったことも、メンタル引きずりパーティの最後尾を何とか付いていった。
いくつかの小ピークを過ぎるとみるみる迫る独標は大きく圧し掛かり、登れるのだろうかと不安は募る。
独標が大きくのしかかる独標が大きくのしかかる

独標のコルで先行していたオレンジヘルメットのH山岳会に追いついた。ソロシステムで直登するという。このために30mロープとグリグリを使って三つ峠で訓練してきたと言う割には不安そうだ。再会を約束して我々は巻道へ。右側のFIXロープで迂回し、踏み跡が薄くなってきた辺りで尾根に向かって直登した。尾根に出ると独標を通り過ぎてしまっていたので、5分ほど戻り独標を踏んだ。槍ヶ岳がまだまだ遠くに見える。いくつもピークを踏みそのたびに槍ヶ岳が大きく迫る。遥か後ろを見るとオレンジのヘルメットが見えた。どうやら無事に直登できたようだ。少し安心した。北鎌平で休憩北鎌平で休憩

そのまま大きなピークのP15を右側に巻いて詰めると、そこは北鎌平であった。槍ヶ岳の大槍がものすごい迫力で迫る。大きな岩のガレ場を西側に向かって詰め、岩の上の薄い踏み跡をたどるが、山頂への取付きが果たして合っているのか不安でいるとレジェンドMさんから「ハーケンがあるはず」とのアドバイスがあった。ロープやスリングなどの残置物を目安になるべく体の露出の少なそうな個所を選んで上った。ロープを出すか悩む個所もこのメンバーならとそのまま強行した。ラスボス大槍ラスボス大槍

ふと見上げると、沢山の登山客がこちらを見ている。そこが槍ヶ岳の山頂であった。詰め上げると、山頂では他の登山者が拍手で迎えてくれた。みなすごいなと褒めてくれるが、あまり皆に言われるので、少し恥ずかしい。山頂での記念写真は、我々と山頂直下で追いついてきたオレンジヘルメットのH山岳会、そして金沢から来た昨日北鎌の出会でテントを張ったソロの青年と写真を撮った。ツアーの団体が来ていたので、槍ノ肩まで降りるだけで30分ほどかかった。すれ違いざま登っている人に聞くと登りはすでに50分待ち。この調子だと山頂まで2時間は掛かりそうな大渋滞。自分たちも登っておいてなんだが、槍ヶ岳の人気はすさまじい。北鎌に取り付いている間は8人しか出会っていないので、人と見ると皆仲良くなる。こっちのルートが行けそうだよとか、ここ行くと直登だよとか情報交換をしているうちに皆仲良くなるが、山頂以降は人とすれ違っても挨拶すらまばらだ。都会ですれ違う人にあいさつする人は皆無だが、そんな感じだ。
肩へ降り幕営計画であった槍ヶ岳山荘テン場はすでに満員御礼。西鎌尾根のテント適地を探すつもりだったが、皆疲れ切っており一つの目標が達成されてしまうと馬力が出ない。大人しく殺生ヒュッテで幕営した。久しぶりにたくさんの人の気配に囲まれて安心だ。
頂上頂上!

槍ヶ岳・三俣蓮華岳 DAY1

A隊】槍ヶ岳・三俣蓮華岳
期 日:2024年8月10日~8月13日
参加者:Lコイケちゃん、レジェンドM、おんちゃん

8月10日(土)晴
七尾山荘(前日22:00)仮眠=(タクシー)高瀬ダム(6:00)~林道終点(7:00)~名無避難小屋(7:30)~湯俣山荘(8:30)~水俣川出会(8:50)~千天出会(11:15)~北鎌沢出会(13:30)~北鎌コル(18:00)幕営

高瀬ダムまでの移動は、タクシーだが林道が崖崩れて車両通行できず、七尾山荘でタクシーに乗り、タクシーのUターンが出来る箇所で途中下車して1.4Kmほど徒歩で通過し、その上部で再度タクシーに乗車せねばならない。下段に2台、上段に2台の配車で尚且つ夏休みのスタートとあって、タクシー乗り場は長蛇の列で有った。おんちゃんが気を利かせて、乗車の列に早めにザックで順番をキープしてくれたので、比較的早く乗車することが出来たが、いきなりの時間のロスである。随分と後ろに並んでいたパーティは、痺れを利かせて徒歩で向かう組もあった。タクシーは少ないが、会社は時間が出来たら上高地へ応援に来いと言われているとタクシーの運転手さんがぼやいていた。
高瀬ダムで2台目のタクシーを下車し、高瀬ダムの不思議な白みがかった湖面を見ながら、「犬神家の一族のすけきよの足が生えてそうだ」などとくだらない話で気を紛らわせながら、林道を1時間ほど進んだ。そして、登山口からはほぼ水平の山道を歩き水俣山荘へ。林道では途中いくつか長いトンネルを抜けたが、ヘッドランプなしでは歩けぬほど暗かった。去年大改装した水俣山荘は、白と木目を生かしたデザインで随分とおしゃれだ。
おしゃれな湯俣山荘おしゃれな湯俣山荘

店内にはバーカウンターもある。働いている方々も若くあか抜けた印象で、人懐っこい。いつかこんな山荘で寛いだ時間を過ごしてみたい。
ここで沢装備を身につけ、湯俣川と水俣川の出会いへ。吊り橋を渡って河原へ降りると1パーティ準備していた。ここから早速渡渉が始まる。この時期の雪解け水はまだまだ冷たい。ふともも付近まで水に濡れたが、30秒程度で足は冷え切ってしまうので、渡渉はなるべく避けたいが右岸に左岸と容赦なく渡渉を強いられる。水流の強いところは肩を組んで渡り切った。普段ストックは持たない主義だが、渡渉にはストックの効果は絶大だ。おんちゃんが気を利かせて私に一本貸してくれた。
下流部の渡歩は当然深い下流部の渡歩は当然深い

途中、残置ロープに導かれ、左岸をヘツッたが、足を滑らせ3mほどのスラブを滑落。浅瀬に水没し右臀部を強打した。幸い何とか歩けたが、右足での岩の乗り越しは痛みが強い。よく観察すれば、この水量ではヘツル理由は全くなく、たとえ滑落せずにスラブを進めたとしても深い淵に行き詰まるだけで、全く意味のないヘツリであった。残置ロープとは言え、そこがルートであるという印ではないのだ。長い年月で地形も変わってしまっているのかもしれない。スタートから臀部は痛むがいい経験を得られた。ただ、この一件でリードを歩く自信はすっかり無くしてしまった。素直に國井さんにリードを譲る。
その先、千天出会いを高巻いて、天上沢へ入るのだが、この高巻きが結構渋い。踏み跡も笹に隠され、斜度もきつく、付いていくのがやっとであった。天上沢側に入ると川幅も細まった。この辺りがP2の取り付きだ。残置のワイヤーロープとピンクテープが残されていた。そこを過ぎると川幅は次第に広がり水量が減り、気が付けば100mは有ろうかというゴロ石の河原となった。川の水が無くなれば10分程度で北鎌沢出会いへ到着した頃には、メンバーも皆疲れ切ってしまっていた。
本来ここで幕営の予定だったが、水俣乗越から降りてきたソロの方はコル、もしくは天狗の腰掛までは今日のうちに行くという。そのあと到着した青年は、計画通りにここでテントを張るという。しばらく悩んだが、まずは腹ごしらえと持参したパンをかじる。もぐもぐしているとだいぶ体力も戻ってきた。時間がまだ早かったのと、コルまで上がってしまえば明日のうちに北鎌尾根を脱出する確率が上がるので、メンバーと相談して、1時間ほどしっかり休憩を取って北鎌コルを目指す。休憩の合間に源頭部へ戻り、水を各自5L汲んで上がったが、2100m付近まで沢で水が湧いていた。重荷に苦心したので、ここで汲めばよかったが万が一水が無ければ行き詰まってしまうので、仕方がない。
後ろを振り向くと、我々以外にオレンジのヘルメットが追いかけてくる。コルは狭いので、早くテン場を確保せねばならない。遅れるメンバーを尻目に先を急いだ結果、私一人詰め上げでルートに困ってしまった。きっとこの先に北鎌のコルは有る。藪をかき分けトラバースして北鎌のコルに先に行こうか悩んだが、これ以上パーティが伸びてしまっては遭難しかねない。トラバースせずにしばらく待ってみたが、その間にオレンジのヘルメットの方には追い抜かれてしまった。しかしいくら待っても、上がってくるはずのレジェンドMさん達も上がってこないので、大声で位置を確認しようと呼びかけるが、先ほどまで聞こえていた声も山に反射して隣の沢から聞こえてくる。
翌日引っかかった翌日引っかかった

これはきっとおんちゃん達がルートを間違えたなと思い、慌てて来たルートを降る。周囲はいつの間にかガスが出て視界は30mほどになってしまった。日暮れも迫っている。目に見えぬおんちゃん達は隣の沢にいるようだ。おいおいそっちは間違いだよ!と言おうと思ったら、北鎌のコルに着いたという。どうやら道を間違ってしまったのは私だったようだ。誰かの山行記録にあったが、これがクライマーズホイホイか。まんまと引っかかってしまった。
再度沢を100mほど降り、薄く隣の沢へのトラバースの踏み跡を見つけ分け入ったが、踏み跡も途中で消失した。怖くなって「おんちゃん、どこー?」と必死に私が叫ぶ。一人となってみるとものすごい孤独感が襲って来た。しばらく声をかけ続けると、ようやく向こうは私のヘルメットが見えたらしい。おんちゃんの声を頼りに藪を強引にトラバースしてようやく合流できた。バリエーションルートでは、メンバー揃った行動が大切だと痛感した。日も暮れる寸前に北鎌コルへ到着し幕営。追い抜いたオレンジのヘルメットの方は、コルよりも少し南側の尾根を大変な思いをして詰め上げ、コルへと降りてきた。コルは3張りで満員。お話ししてみると、神奈川県岳連の老舗H山岳会のソロの方だそうだ。明日はいよいよ本番だが、先が思いやられる。

24年5月会山行 三ツ峠(岩登り)

24年5月会山行 三ツ峠(岩登り)
勝田浩一

入会後、2日目の岩登りに参加できました!
今回レジェンド両2名(Mr.Yoshi/Mr.M)主要メンバー(Mr.k、Y子、おんちゃん)の総勢6名で、三ツ峠の屏風岩に出発!
クライミングのメッカみたいで、入会間もなく三ツ峠の山行途中、屏風岩でクライミングを立ち止まって見ていながら自分にもできるのか?と思いつつ1年後にこの岩に取り付く自分がビックリ!!皆さんから登り方、ロープ捌き、心構え?等アドバイスをもらいながら、気がついたら岩の途中迄登っている自分が!
S__6570005↑レジェンド吉原さんのパワークライミング!

岩って最高!と思いつつも、入会して2回しか経験がなく、不安だらけ、でも親切な先輩方に基本のきを教えてもらいながら、楽しくもあり、怖くもあった思い出に残る山行を経験しました!
S__6570007↑私も頑張りました!

入会して1年ほどですが、沢登り、雪山、岩登り等山のスペシャリスト達と楽しくも、正しく教えてもらいながら経験を積ませてもらっております!
また、今年も色んな山へ飽くなき挑戦をしていきます!皆さんよろしくお願いします!
S__6570009↑レジェンド森さんからは、ハーケンの打ち方、外し方も教わりました。
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今期初回の沢登り!

シンナソー:記録 岩沢 氷ちゃん

 今期初回の沢であったため、装備と技量確認目的で1級の沢を選択した。下降はヒヤマゴ沢とした。

 7時過ぎに駐車場に着くと既に肌寒い。元々沢は得意ではないので気持ちも冷え込む。寒いのに濡れに行く…謎の行為である。文句を言っても始まらないので着替えて遡行を開始する。シンナソーは水が少ないと聞いていたが前日の降雨があり、水量はそこそこあってジャバジャバだ。さらに気持ちが下がる。ヌメるかと思ったがフリクションが効いて登りやすい、悪くない。

unnamed (3)↑入渓点。気分も上がります!

 2段の滝が出てくる、ジャバジャバだ。ロープを出す。リードじゃんけんで勝ってしまったためリードする。中間を取りたかったが、取れる場所が無いのでそのままトップアウト。岩で支点を取り後続を引き上げる。

unnamed (1)↑リードジャンケンに負けた、、orz

 少し行くと3段の滝が出てくる。再度リードじゃんけんをするが、また勝ってしまう。癖を読まれてしまっている、頭を使わねば。ここも言わずもがなジャバジャバだし中間が無い。絶対落ちれないというプレッシャーはあるが滝の中にホールドが沢山あるので楽しく登れる。

unnamed (2)↑そろそろ水量も少なくなって来ました♪

 3段の滝以降は水線から外れる事なくフリーで遡行していく。水流が途絶えガレてきたところで林道に詰め上がった。

 林道では小休止を兼ね懸垂下降の練習。セット、バックアップの取り方を一通り習得してもらい即実践。否が応でも覚えざるを得ないが、技術は使ってナンボなので効率が良いように思う。

 下降に使ったお隣のヒヤマゴ沢は、沢に出るまでのルートファインディングに少し時間をかけたが、下りは快適。途中の倒木王国と蜘蛛の巣がうるさくて辟易したが、沢を下る経験は初めてだったので面白かった。

unnamed↑詰め上げて懸垂下降の再確認。現場でやると覚えも早いです。

 拙いリーダーでしたが、楽しく登れたのはしげちゃんがフォローして下さったりMr.ビーンさんが空気を和らげて下さったお陰です。ありがとうございました。 これから暑くなっていよいよ沢のぼりの本番です!