春合宿A隊 裏越後三山

春合宿A行動記録
■山域    越後 裏越後三山
■メンバー  navetake(L、記録) morimaro(気象) Kob(装備) gaku(食事、会計)
■日程    平成27年5月2日(土)~平成27年5月4日(月)

5月2日(土)
天気 快晴
銀山平(7:30)~蛇子沢左岸尾根~荒沢岳の肩直近の稜線(16:20)

神奈川組のKob、gaku、navetakeは、早朝にkobさんの自家用車で、圏央道~関越道で新潟へ向。かう。約4時間ほどで奥只見シルバーラインの入り口に到着。ちょうど6時の開通時間直前で、群馬の実家から合流のmorimaroさんの車が2台前に見えた。
シルバーラインから銀山平へ入り、船着場の駐車場に駐車、取り付きへ向かう。
とぼとぼ歩いていると、現地のパトロールのおじさんが歩くと遠いからと車に乗せてくれた。ロッジ樹湖里の前あたりに20台ほどの駐車スペースがあり、kobさんの車をそちらへ移動することができた。
北ノ又川の広い河原の末端から延びている蛇子沢左岸尾根に取り付く。登り始めると、現地のマタギと思われる貫禄のある方に出会う。少し話しをすると、熊猟に入っているとのこと。「静かにな。頼むぞ。」と声をかけられて、ドキッとした。
快晴の下、なだらかな雪の尾根を快調なペースで登っていく。あまりに快調なので、予定よりかなり先に進めるのではないかと思ったが・・・。
標高1200mあたりから、尾根に雪がなくなり藪こぎになる。ところどころ踏み跡もあるが、ほとんど用をなさない。一気にペースが落ちて、ひどいと10mすすむのにも10分以上かかった。
上部に登っていくと雪渓も出てくるが、すぐにまた藪こぎが待っている。それほど経験が豊富とはいえない我々4人は、越後の濃厚な藪こぎをかなり味わうことができたと思う。

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夕刻、メンバー全員疲労困憊で、荒沢岳の肩の手前の平坦な雪渓上に到着し、幕営地とした。

5月3日(日)
天気 快晴
荒沢岳の肩直近の稜線(5:40)~荒沢岳の肩(6:00)~荒沢岳(6:20~6:30)~兎岳(12:00)~中ノ岳(15:50)~中ノ岳避難小屋(16:05)

4:00起床。5:40に幕営地を後にして荒沢岳の頂上に向かう。荒沢岳の肩に荷物をデポして、頂上をピストンする。
越後駒ケ岳までの縦走路が見渡すことができる。昨日は地獄のような藪こぎだったが、今日は天上の雪稜歩きが予想された。
南東側の巨大雪庇に注意しながら歩を進める。快晴の下、兎岳までの稜線は穏やかで、4人のトレースが長く長く伸びていく。

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雪庇の状態に注意しながら小さなピークを目指したり、樹の間を縫って強い日差しを凌いだりしながら、春の雪山を満喫した。南東方面に遠く望む双耳峰は、燧ケ岳か・・・。その手前に見える広大な山頂は平ヶ岳か・・・。
それにしても、昨日もだったが、今日もとても汗をかく。テルモスのお湯だけではとても足りず、メンバー全員、雪を溶かしては水分をひっきりなしに補給した。
12:00、兎岳の頂上に到着。もしかしたらこの日のうちに駒ケ岳まで行けたらと話していたが、思っていたよりペースは上がらない。兎岳でB隊と交信すると、B隊は、ちょうど駒ケ岳に登頂したところで、中ノ岳には向かわず、小倉岳で幕営するとのことだった。
中ノ岳の稜線を見上げると、1箇所急な雪の斜面が見えた。直登するとなると、けっこう厳しそうだ。
中ノ岳の稜線は日差しを遮るものはなく、午後になり気温はさらに上がって、皆疲労が増していっているようである。じりじりと進んでいくと、気になっていた急斜面のあたりを下ってくる2人の人影がみえる。どこを下りてくるのかと思っていたが、姿がみえなくなった。しばらくしても人影は現れないので、動物だったのかなとも思ったが、稜線の中腹くらいまで進むと先ほどの2人が近くまで下りてきた。
中年の男女のパーティーのようだったが、鳩待峠まで行く予定だったが、明日の天候不良の予報でどうするか思案中とのこと。
上部の急斜面は巻いて下りてきたらしく、1度姿がみえなくなったのはそのためだった。
我々も急斜面の直下まで近づくと、やはり直登はパーティーの力量を考えると困難に感じられた。
トレースは左から伸びている。大きく左に迂回すれば、急斜面を巻いて登れそうか。斜面を慎重にトラバースして、少し緩やかな斜面に出た。トレースも伸びてきているが、そこを登っていけそうだ。
このトラバース箇所で、kobさんが10mほど滑落してしまった。
傾斜があるので強く蹴り込んだところ、足元の雪が崩れてしまった。滑り落ちた雪面はかたくはなくなんとか制動をかけてなだらかになったところで止まることができたが、すぐ後ろは(浅いものではあったが)シュルンドが口を開けており、その後ろは断崖であった。
皆疲労がピークにあるなかで、お互いのケアが欠けてしまったこと、状況判断が甘くなってしまっていたことが要因になっているようだった。リスクがある場面では、状況判断は可能なかぎり厳密にして、できる限りの安全性を考えて、リスクを回避するために、なんらかの労力、代償、犠牲を払う必要があるのだろう。大げさな感じだが、山におけるリスクとは、死につながることなので、そういうことはいえるのかもしれない。
15:50、中ノ岳山頂に到着。直ぐ奥の稜線上に避難小屋が見え、ほっとした。
ちょうど、初老の男性2人パーティーも上がってきたところだった。八海山から縦走していたとのことだが、避難小屋は使わず、山頂の近くでツェルトビバークするとのことで、去っていった・・・。
明日は天候悪化の予報で、早めの行動がいいだろうと、3:00起床を話し合い、19:30ころ就寝した。

5月4日(月)
天気 晴れのち曇り、時々雨
中ノ岳避難小屋(4:25)~越後駒ケ岳(9:10~20)~銀山平(13:30)

3:00起床、4:00すぎには窓の外が明るくなってきている。夜中、風の音が気になったが、外に出ると進軍できないほどではない。昨日の朝と比べると気温は高く、雪面は適度に緩んでいる。天気は午後から崩れるらしい。朝の感じは悪くない。
檜廊下は、両側が切れ落ちた険しい夏道を辿ったり、懸垂氷河のような巨大雪庇が眼前に現れたり、シュルンドの筋がいくつも走る雪渓を横切ったりと、昨日までの山とは違う雄壮な印象だった。

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トレースは伸びてきているが、先の状況がはっきりしない雪庇の箇所で、1度ロープを出して通過した。
だいぶ駒ケ岳の山頂に近づいてきていた開けた雪渓上を進んでいると、最後方を歩いていたmorimaroさんがシュルンドに捕まってしまう!morimaroさんの前を歩いていたgakuさんがすぐに駆け寄り、自身のピッケルを雪面に打ちつけてからmorimaroさんの手を掴む。navetakeも駆け寄り「ザックを下ろして!」と声をかけるが、腰ベルトをしているので外せるわけもなく、morimaroさんの身体はさらにシュルンドに落ちて両腕とザックが支えになって雪面に残っている状態になった。navetakeはmorimaroさんのザックを掴み、2人で引き上げた。morimaroさんの両足は完全に宙に浮いた状態だった。シュルンドの深さは目視で3~5mほどだったが、事なきを得ることができた。
9:00、駒ケ岳山頂直下に到着。荷物をデポして、山頂へ。近くでは山スキーヤーが遊んでいて、山頂では、中年のご夫婦らしきパーティーがのんびりと過ごされていた。日は暖かく、天国に近いような感じの居心地だった。

山頂直下の駒の小屋では、水汲み場が設置されており、充分に水分補給ができた。男性2人が休憩していた。
雪がややくさりかけている急斜面を慎重に下降していく。2~3パーティーとすれ違うが、入山者はそれほど多くはないようだった。
道行山をすぎて、銀山平に近づいてきたころに小雨が降り始めたが、下山まで本降りになりそうな感じはなかった。北ノ又川の河原から石抱橋までの道は、雪崩の兆候もあり、やはり最後まで油断は禁物なのだろう。
13:30、銀山平に下山。白銀の湯に立ち寄る。B隊の下山報告がまだなく心配したが、携帯電話がつながり、もうすぐ銀山平に下山するところだとのこと、下山箇所にお迎えに行く。下山してきたB隊の3人も充実の表情をされていたので、とてもうれしく感じた。全員で、無事下山の握手を交わした。

●morimaroさんの山行記録は以下。
闘魂の裏越後三山縦走 ~地獄の藪漕ぎ編(1日目)~
闘魂の裏越後三山縦走 ~炎の雪稜散歩編(2日目)~
闘魂の裏越後三山縦走 ~越後の主峰堪能編(3日目)~

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