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妙義山(金洞山)

期 日:2020年11月15日
参加者:Lオヨシ、カワマサ

2020年11月15日(日)晴れ
県立妙義公園大駐車場(7:30)-中之嶽神社(7:53)-堀切(9:12)-鷹戻しの頭(10:09)-東岳(10:53)-中之岳(11:07)-駐車場(11:45)

中国の桂林を彷彿させる日本三大奇景の一つ、妙義山。かつては海底だった部分が地殻変動により隆起し、浸食や風化によって今の姿になった。今回はカワマサさんをお誘いして鷹返しを含む金洞山ルートにチャレンジ!

中国の桂林のような山容

駐車場から数分、日本一大きな大黒天様が祭られている中之嶽神社の長い石段を上ると登山道に入る。

大きな大黒天様がお出迎え

ハイキングコースの石門エリアは昨年の台風19号以降に幾度か崩落があったようだ。

倒壊した東屋

見事に色づく紅葉に目を奪われながら登山道を歩いていると、稜線に出るための分岐である堀切をうっかり見逃してしまい慌てて戻る。

どこを見てもキレイな紅葉

堀切には下りでの利用を控えるように注意書きがある。確かに岩稜が小石や砂で滑りやすい。

堀切の目印はわかりにくい

稜線に出ると「この先危険!!」と書かれた看板があり、その先には鷹戻しが待ち構えている。

看板が見えたら気を引き締めて!

妙義山系では毎年10件以上の滑落事故が発生している。難易度が高い区間は、セフルビレイコードのカラビナを鎖に通して安全確保する方法もある。女坂分岐までは短い鎖場がいくつかあり、分岐を過ぎて急登を詰めたところが鷹戻しの取り付きである。

上り始めたら後戻りはできません

まずは数年前に交換されて丈夫になった三連のアルミハシゴを上る。

とても安心感のあるアルミハシゴ

その先の50mの鎖場がこのルートの核心部である。

ここから頭まで写真が撮れる体制になれませんでした

おおよそ四段に分かれており、狭いが途中のテラスで腕を休めることもできる。力み過ぎず、しっかり鎖を握って足場を確認しながら上り続ける。鷹戻しの頭に到着、景色を堪能してから鷹戻しを覗き込むと、確かに楽ではないルートであることを再認識する。

北東に見えるのは相馬岳
見下ろすと容易ではない岩壁だったと改めて認識

続いて鎖のない15mほどのルンゼを下りる。ホールドは多分にあるが足場が非常に見えにくい。ここは滑落事故が多く、不安であれば懸垂下降をお勧めする。

上りやすそうだが下るのは一苦労

休む間もなく、次はルンゼ内二段25mの下り。ここには太く頑丈な鎖が付いているが岩壁に対して垂直に沿っておらず、鎖に頼り過ぎると岩壁から離れてバランスを崩してしまうので要注意である。

鷹戻しに劣らないルンゼの下り

金洞山の最高峰・東岳に向かっていくとコルから石門エリアへのエスケープルートがある。エスケープと言っても足場が悪く下るのも一苦労のようで、ここも懸垂下降が良いようだ。ほどなくして東岳山頂に到着、そこから妙義山系の全容が見渡せる。

麓の様子も良く見える

まだまだ鎖場は終わらない。三段30mを下り、断続的な50mの岩稜帯を上り返した先には最後のピークである中ノ岳がある。

上りとしては最後の鎖場

山頂には祠が祭られている。

中ノ岳山頂の祠

ここから石門エリアに向かって下るが、またもやルンゼ内の鎖場から始まり、所々にFIXロープが張られているザレ場をトラバースする。

鎖場で一気に高度を下げていきます
FIXロープは黄色なので見逃さないように

最後まで集中力を切らさぬように。石門エリアまで戻ると、朝とは違って紅葉狩りに来た多数の観光客の姿があり、駐車場も空き待ちの列ができるほど満車であった。
夏の妙義山はとても暑く(丹沢ほどではないが)ヒルもいるので、やはり涼しくなる秋が良いだろう。また妙義神社側の相馬岳ルートは金洞山ルートよりも難易度は下がるが油断してはならない。全て縦走する場合は余裕をもって10時間は見ておくこと。

(記 オヨシ)

荒川水系中津川 大若沢

期 日:2020年8月29日
参加者:Lオヨシ、なべたけ、わたゆき、ヒー

2020年8月29日(日)晴れ
大若沢休憩所駐車場(8:00)-金山沢出合(9:10)-二俣(10:20)-長滑沢出合(10:50)-駐車場(12:50)

大若沢は埼玉県の『彩の国ふれあいの森』の敷地内にあり、「学習の森」(大若沢休憩所)駐車場から遊歩道を通って入渓する。以前は散策目的でも遊歩道を使えば魚止ノ滝まで行くことができたが、昨年の台風19号の影響により広範囲にわたり木道や橋が崩壊し、現在も散策は難しい状態になっている。沢そのものはほとんど被害を受けていない。大若沢は巻かずに登れる滝が多く、所要時間も半日程度であるため、初級者におススメである。

序盤の勘兵衛ノ滝から不動滝までは、滑りやすい箇所もあるがウォーミングアップにはちょうど良い。

勘兵衛ノ滝 右岸から登る
大釜の滝 これも右岸から登る
こもれびがキレイ

不動滝は遡行図に残置支点があると記されていたが、それらしきものは見つからなかった。

不動滝 登り方を確認
不動滝 一番滑りやすいところ

続く中盤はキレイなゴルジュから始まる。

金山沢出合 この滝は簡単に登れる

まず金山沢出合の先にある12mのトイは、「高巻きしてトイの先へ懸垂下降した」という記録をいくつかネットで目にしたところである。

トイ ここから左方向に登る

水量によるかもしれないが、沢に沿って登っても特に危険は感じず、突っ張りながら詰めていく。その後しばらくはナメや小滝を堪能しながらゆっくり進む。

終盤の魚止ノ滝から直滝までは、弱点を突いていけば難しくはない。魚止ノ滝は右岸に取り付いて登るのが一般的なようだが、滝を横切って左岸に渡ったのちに滝の裏側を這い上って右岸に取り付くこともできる。それなりに水を浴びるが何だか楽しい。

魚止ノ滝 左岸から右岸へ斜めに登っていく

直滝は左岸でも右岸でも高巻きできるようだ。左岸には残置スリングあり、これをアブミとして利用すれば楽に登ることができる。

直滝 左岸を高巻く

長滑沢出合から先も奥の二俣まで遡行は楽しめる。勢いでつい進み過ぎてしまい、慌てて長滑沢出合まで戻る。

長滑沢出合の目印

下り左手を見上げると、わかりづらいが5mほど登ったところに遊歩道がある。途中、崩れている箇所もあるが、1時間弱で勘兵衛ノ滝まで戻ることができる。

遊歩道 沢下りは大変なのでこんな状態でもありがたい

奥秩父としてはアクセスしづらい場所だが、景色も良くしっかり滝登りも楽しめる沢であった。

(記 オヨシ)

塩見岳

期 日:2020年3月20日~22日
参加者:Lオヨシ、コバヤン、みの、こ~平、ヒー

3月20日(土)曇りのち晴れ
相模原(6:30)=松川IC=鳥倉林道冬季閉鎖ゲート(駐車スペース)(10:30)-越路ゲート(12:10~12:20)-鳥倉林道登山口(13:00)―三伏峠小屋(16:50)幕営

無積雪期は越路ゲートの駐車場に停められる鳥倉林道だが、積雪期の12下旬から4月下旬までは6km手前の冬季閉鎖ゲートまでしか車で入れない。その際は狭いスペースに停めることになるため1台で行くことにした。5人分の大型ザック、ピッケル、ストック、ワカン等と共同装備。大荷物であることは自覚していたが、予想以上に積み込みで苦戦。どう見ても荷台はキャパオーバーのため、潔く後部座席の足元や膝の上を使うことに。予定より30分以上遅れて出発した。
7時近かったが圏央道の恒例渋滞には捕まらず、順調にその先の中央道へ。松川ICから大鹿村までの道のりは今季3回目、妙に親近感がわく。林道手前の最後の店舗である道の駅『歌舞伎の里大鹿』でお酒やおつまみを購入。全国的に流行し始めたコロナウイルスの影響は地方の道の駅にも波及、「マスク未入荷」の貼り紙があった。冬季閉鎖ゲートまでは対向車には遭遇したくはない道幅で、縁石は切れ落ちていないものの落石が散見される。予想に反して凍結はしていなかったが、予定より1時間遅れで冬季閉鎖ゲート手前に到着。既に3台駐車していたが、1台分のスペースはあるため縦列で停める。

冬季閉鎖ゲート手前に駐車

コバヤンは冬季に燕岳へのアプローチである宮城ゲートから中房温泉までの林道をソリを使って歩いた経験から今回もソリを持参。しかしながら見渡す範囲に積雪はなく、早々にソリの出番はないと判断された。

積雪がない林道

2km先の夕立神パノラマ公園に向かう間、普段着の観光客3団体とすれ違った。あいにくの曇り空であったためか、パノラマ公園から展望を諦めて戻ってきたのだろう。パノラマ公園で小休止した後、越路ゲートまでの4kmと登山口までの3kmをひた歩く。

越路ゲート ここまで車で来たかった

久し振りに聞くみのさんとコバヤンの息の合った掛け合いに楽しませてもらいながら登山口に到着。昨年11月に来たときも自転車1台が置かれていたが、今回は2台あった。大型ザックを背負っての運転も決して楽ではないが、林道も行程の一部なので自分の足で歩くべきではないだろうか。

登山口(フレーム外だが右側に自転車)

登山口から三伏峠までは登り一辺倒となる。林道は所々凍結している程度で積雪はほとんどなかったが、登山道は序盤から積雪があるため、早々にアイゼンを着ける。三伏峠までの登山道は10区画に分かれており、時折[○/10]の行程標識が出てくる。等間隔ではないが、3区画を目安に小休止を取りながら登る。[3/10]地点から三伏峠までは登山道が北に面しているため、高度が上がると共に雪深く風も強まるため、防寒着を身に付けた。

谷側を注意しながらを歩く

幾度か沢筋を横切るようにトラバースするが、筋沿いに雪崩れた形跡があるため一人一人慎重に通過する。[7/10]地点より先も傾斜は緩まず、息を切らさぬようペースを乱さず淡々と登る。[8/10]地点を過ぎると、今は閉鎖されている塩川ルートとの分岐が現れる。みのさんは若い頃に塩川ルートから登った経験があるそうだ。三伏峠までおよそ200歩の場所に登山者を励ます看板が足元にあるのだが当然のように雪に埋まって見えない、数分で三伏峠に到着。

三伏峠の看板も埋もれそう

冬季は三伏峠小屋の新館の一画が解放されるが、既に満員状態であった。本来のテン場は膝上辺りまでの積雪に覆われていたので、我々は三伏峠小屋本館近くの樹林帯を整地してテントを2張り(2テンと4テン)手際よく設営する。

腰下くらいまでの積雪
きれいに雪化粧した塩見岳

雪がしまっておらず、圧雪に難儀した。夕飯はヒーさん特製ポトフ、いつも通り賑やかに過ごした。翌日は5時出発の予定だったが、疲れと強風予報を鑑みて、出発を1時間遅らせることにした。

3月21日(日)晴れ
三伏峠小屋(6:50)-三伏山(7:25)-本谷山(8:40~8:50)-塩見小屋手前(12:15~12:35)-塩見岳(14:30)-塩見小屋手前(16:00~16:15)-本谷山(18:20)-三伏山(19:20)―三伏峠小屋(20:10)幕営

6時に出発するため、4時半に起床して5時から朝食を取る予定であったが、こ~平が仕込んできてくれた冷凍挽肉キーマカレーが全く融けてくれない。気温が低く自然解凍が進まなかったのが誤算であった。湯煎して結果的に1時間ほど準備に要した。朝は時間勝負なのでメニュー選定や工程には留意しなければならないと反省。

今日の天気も清々しい

塩見小屋まではワカンとストック、山頂往復はアイゼンとピッケルを使用する計画で各々準備。出発しようとしたところ、みのさんがテントに忘れ物をしたとのことで、他のメンバーはゆっくり先に歩くことにした。幕営地付近から延びているトレースを頼りに15分ほど進むが、何か違和感があった。塩見岳と烏帽子岳との分岐がいつまで経っても現れない。そう思った矢先、頼っていたトレースがなくなってしまった。どうやら塩見岳を眺めるために小屋から東に向かったパーティーが付けたトレースのようだ。

ルートは間違えたが確かに良い景色

目指していた分岐は、小屋から塩見岳に向かう際は誰もが通過する分岐であったため、トレースは信頼できると思い込んで方角や地形図を確認せずに進んだことが良くなかった。気を取り直して戻ると、程なくして右手には以前小屋があった跡地を経由するルートが見えてきた。ほぼ踏まれておらず沢筋で雪が吹き溜まって危険なためこのルートは使わず、三伏峠小屋近くまで戻ることにした。この往復でのロスは10分くらいと感じていたため、みのさんにはすぐ追い付けると思ったが一向に姿が見えない。そうこうしているうちに三伏山に到着してしまった。

三伏山への稜線

呼び掛けながら進むが全く返事が聞こえない。そのまま1時間ほど経過し、先ほど選択しなかった吹き溜まりルートとの合流点となるコルに到達。可能性は低いがみのさんが小屋から急いで追い掛けて来ていることも想定し、こ~平には急ぎめで先に進んでもらい、残りのメンバーは少しペースを落として歩くことにした。間もなくこ~平がみのさんと合流、その連絡を受け、15分後に全員集合となった。気を取り直して行動再開。樹林帯の中でアップダウンを繰り返しながら本谷山に到着。

本谷山からの眺め

11月の山行で幕営した場所だが、今回は雪が積もり標識が見えない。先にそびえる塩見岳を暫く眺め、塩見小屋を目指す。長い下りがあり、50~60mほど標高を下げた辺りに休めそうな場所があったので長めに休憩を取る。ここから登頂してテントに戻ってくるまで約7時間。コバヤンは調子が優れないとのことでテントに戻ることに、夕食の下準備等をお願いした。他のメンバー4名で塩見岳を目指す。
30分ほどで権右衛門山に続く樹林帯の手前に到着。そこから目視できるトレースは北北東方面と北東方面の2本。後者が本来の登山道に思えたが、くっきりしたそのトレースはなぜか東へ伸びて急勾配で下っており、権右衛門沢へ向かっているようだった。すぐに引き返し、もう一方の今朝付けられたと思われる新しいトレースに沿って進むことにする。樹木の間を上手い具合に抜け、徐々に高度を上げながら左手の尾根に詰めていく。大きく東に進路を取った辺りで、3人組パーティーが戻ってきた。聞けば、そのパーティーが朝早くから行動して付けたトレースであった。塩見岳山頂を目指したがラッセルに苦戦を強いられ、今日中に下山するには時間切れとなり撤退してきたとのこと。我々の先には2パーティーが先行しているそうで、トレースのお礼をし先を急いだ。1時間ほど経つと尾根に出る急登が現れる。交代でラッセルしながら登り詰めると合流点にたどり着く。地形図を確認したところ、北から権右衛門山を巻く塩見新道ルートと三伏峠からの登山道が合流する場所だった。積雪期は今回の尾根沿いにルートを取った方がラッセルの負担が少ない。

急登を越えると視界がひらける

合流点から暫く進むと森林限界を抜けて塩見小屋手前のひらけた場所に着く。ここをデポ地点として、しっかりと食事・水分を取り、装備をピッケル、アイゼン、ハーネスに付け替える。ロープは最後尾の私が持ち、気持ちを引き締めて塩見岳へ。

装備を付け替えて再び登り始める

塩見小屋がすっかり雪に埋もれてしまい、何とか屋根の一部が見えている程度。

雄大な塩見岳が現れる

天狗岩までの稜線では常に強い西風が吹き付け、耐風姿勢が解除できずなかなか前に進めない。

強風に耐えながら進む

ようやく天狗岩の基部に着く。見上げると露岩と氷が混ざり合う一筋縄ではいかないコンディションであった。ここから塩見岳山頂までは鎖やハシゴが一切なく、アイゼンでの登攀経験がないとリスクが高い。ロープを使えば登頂を希望していたこ~平をフォローできると思っていたが今回は断念、みのさんと共に一足先に三伏峠へ戻ることとなった。こ~平が凍結箇所の下りで滑らないか心配していたのでロープはみのさんに渡し、私とヒーさんと二人で山頂を目指す。

塩見小屋付近で記念撮影、画になりますね~

天狗岩まではトラバース気味に高度を上げていく。天狗岩の山頂にはよらず横切り、一旦鞍部に下る。見上げると荒々しい塩見岳山頂がそびえ立つ。

見上げると塩見岳山頂が見える

積雪期は右から巻いて登るルートを取るが、核心部のルンゼに向かって比較的直進のトレースがあり、足元の状態も良かったのでそのまま進んだ。ルンゼでは先行の7人組パーティーがロープを使って降りている最中であったので、我々はルートを少しずらして岩壁を登った。時折吹く強風をやり過ごしながら塩見岳の西峰を無事に登頂。標識が完全に埋もれていたので、ピッケルで少し掘り出して記念写真を撮った。

念願の登頂!
山頂からの眺めは良いですね~

強風が止まないのと14時を過ぎていたことから東峰には向かわず、急いで戻ることした。

焦らず慎重にルートを選びます

先ほどのパーティーが苦戦していたルンゼにはしっかりキックステップの跡が残っていたので、ピッケルとアイゼンをしっかり雪面に食い込ませながら慎重に下る。無事に通過できたが、先ほどみのさんにロープを渡してしまったことを後悔した。(こ~平はみのさん指導のもと、ロープを使用せずに下りることができたそうだ)

核心部以外でもピッケルとアイゼンをしっかり食い込ませる

1時間半ほどで塩見小屋先のデポ地点に到着。緊張が続いてお腹もすいたので軽く食事を取り、またワカンとストックに替えてテントに向かう。登りでの体力消耗は想定以上で、下りでも思うようにペースが上がらない。日の入り時刻の17時55分までに三伏山くらいまでたどり着きたかったが、本谷山で日没を向かえてしまった。

夕日がきれい、まだ先は長い

三伏山を過ぎると三伏峠方面にうっすら明かりが見えたので少し安堵した。

暗闇の中、塩見岳を振り返る

テントに到着するとお腹をすかしていたメンバーから温かい言葉をかけてもらった。急いで夕食の大豆キーマカレーを作った。慌てたのと疲れもあり、カレー粉の分量を間違えて激辛カレーとなってしまった。皆さん、頑張って食べてくれてありがとうございました。

3月22日(月)晴れ
三伏峠小屋(7:20)-鳥倉林道登山口(9:30~9:40)-鳥倉林道ゲート(10:20~10:30)-鳥倉林道冬季閉鎖ゲート(駐車スペース)(12:20)

天気予報は午後から下り坂、それまでには下山できるよう5時半起床。前夜は疲れきっていたので周りのいびきも気にならずぐっすり眠れた。朝食は手早く作れる塩ラーメン、カロリーは控えめだが下山のみなので丁度良い。外に出て周囲を見渡すも既に他のパーティーの気配はない。テントを撤収し、アイゼンとストックで下山開始。初日よりも雪は融けているので谷側に足を踏み抜かないように注意しながら足早に下る。淡々と登っていたので気にならなかったが、[6/10]地点から三伏峠までは傾斜が緩やかではなく、落差で下山スピードもつい上がってしまう。アイゼンを外すタイミングを伺っていたが、そうこうしているうちに登山口に着いてしまった。

先は長いので小休止を取りながら

ここから再び9kmの林道歩きが始まる。皆は談笑しながら歩いているが、私は足裏に痛みがあった。痛み止め薬を飲んだが全く効かず、衝撃を和らげるために雪の上を歩いたり、力の入り方が変わるように後ろ向きで歩いたりした。とにかく耐えに耐え、皆から遅れること30分以上、ようやく駐車スペースに到着。足裏を見てみると、両足共に踵と指の付け根の皮が剥けてしまっていた。厚手の靴下が動いて擦れ続けたのが原因であった。長時間の林道歩きでは肌にフィットするインナー靴下を履いて摩擦を軽減させる対策が必要であることを身をもって学んだ。
今回は春山合宿の下見を兼ねていたので、しっかり現地の情報収集もできた。南アルプス南部はアクセスが良くないが、人工物も少なく大自然を堪能できるので是非お薦めしたい。

(記 オヨシ)

会山行B隊 赤岳天狗尾根~ツルネ東稜

期 日:2020年2月8日~9日
参加者:Lみの、オヨシ

2月8日(土)曇りのち晴れ
相模原(10:00)=松川IC=美しの森駐車場(12:30)-天女山分岐(13:30)-本谷下降点(14:10)―出合小屋(15:20)幕営

私が入会して間もない一昨年の冬、例会報告で耳にした『八ヶ岳の天狗尾根』という響き。当時はどのような尾根か詳しくは知らないが登ってみたいという衝動にかられたことを今でも覚えている。暁ではここ数年で天狗尾根に二度アタックしている。

2016年3月(ナベタケ、コバヤン、ガク)
2018年2月(ガク、みのさん)

いずれも完登されているが、記録を見る限り、一筋縄ではいかなかったようである。今回の山行では経験者のみのさん先導で挑戦することになった。

昨年の10月にも訪れた赤岳・真教寺尾根の麓である美しの森駐車場から始まる。初日は出合小屋までの行程としたので登山としては遅めのスタート。広々とした駐車場には先行パーティーのものと思われる車が5台ほど停まっていた。冬は営業していない観光案内所裏手の舗装路を西に向かうと、すぐに川俣林道へと入る。今年は雪不足のため林道にはあまり雪は積もっていない。数ヵ所ある分岐付近には道標や看板があるので積雪が多くても迷うことはない。林道の半ばを過ぎた辺りで天狗尾根が見えてくると気分も高揚してくる。

林道から見える赤岳

林道は川俣川に近いので何ヵ所か支流を渡渉する。林道の終盤は樹林帯で、抜けると辺り一面が雪で覆われている地獄谷に到着する。

林道の終点、地獄谷

そこから先は5つの堰堤があり、左岸もしくは右岸のハシゴや階段で越えていく。間もなくすると、初日の目的地である出合小屋が見えてくる。

ぽつんと出合小屋

小屋は2~3テンを5張りくらい設営できる広さだが、既に大部分が使われていた。一番奥に2テンがギリギリ張れるスペースが残っており、そこに設営した。

テントで込み合う小屋の中

翌朝は日の出前に行動開始予定であったので、30分ほど周辺を偵察することにした。仕度を終えたみのさんは一足先に行き、暫くして私も後を追った。小屋から数十mのところに分岐があり、左手が地獄谷本谷(ツルネ東稜)、右手が赤岳沢に通じる。赤岳沢への道を進むと渡渉が数ヵ所あるので早朝は気を付けねばならない。暫く進むと沢の左岸に到達、赤布が見えるそこが天狗尾根への取り付きである。しかし、トレースが沢沿い方面や直登方面へと数本付いており紛らわしい。赤布もそれぞれの方面にあるため、単独行動での偵察はここまでにして小屋へ引き返す。分岐まで戻ると、本谷方面から10名ほどのシニア中心のパーティーが下りてきた。装備からアイスクライミングを楽しんでいたようで、小屋にテントを張っていたのも彼らであった。間もなく、みのさんも本谷方面から下りてきた。日も暮れてきたのでテントに入り夕食と宴の準備。美濃戸でアイスクライミングをしていたA隊が予定時刻を過ぎても行者小屋に着いていないとの連絡があり心配したが、体調がすぐれないメンバーがいて時間を要したとのことだった。一方、出合小屋では例の大人数パーティーが盛り上がっており、遅くまで騒いでいた。我々は翌朝3時起床なので20時に就寝した。

2月9日(日)晴れ
出合小屋(4:20)-カニのハサミ(7:20)-第一岩峰(8:00)-第二岩峰(9:00)-大天狗(9:20)-天狗尾根ノ頭(10:40)-ツルネ南峰(12:00)-出合小屋(14:40)-美しの森駐車場(16:30)

3時過ぎに起床、周りのテントはいびきの大合唱だった。朝食のラーメンを美味しくいただき、身仕度を整える。昨日最後に小屋へ入ってきたご夫婦パーティーも我々と同様に早朝出発のようだ。月明かりもなく、ヘッドライトを付けても視界が悪い。

暗闇の中、行動開始

昨日の偵察を思い返しながら、天狗尾根の取り付きまでは踏み抜きに注意しながら進む。取り付きに到着し、複数あるトレースの中で一番はっきりしていた沢沿いに向かうが、数十mでトレースが消えた。気を取り直して直登方面へ進む。雑草の上に雪がついているため滑って登りづらい。赤布の間隔が広いためか、先行者の道迷いで付けられた分岐トレースが相当あった。方位や地形を確認しながら暫く樹林帯の中を進む。取り付きから1時間ほど経つと左右が切れ落ちたナイフリッジに出るが、暗闇で周囲の様子が全く確認できない。

注意してナイフリッジを歩く

6時を過ぎると徐々に明るくなってきたが、まだまだ急登は続く。出発から3時間で岩稜帯に到着、カニのハサミが見えてきた。

カニのハサミ

確かにハサミ以外のネーミングが思い浮かばないフォルムだ。ハサミの間を直登することもできるようだが、我々は登ることなく左から巻く。続く10mほどの岩壁はダブルアックスで難なく登る。間もなくして一つ目の核心部である第一岩峰に到着。ここは岩壁を直登して稜線に抜けるルートと右手方向にある残置ロープを使ってトラバースしてから30mほどのルンゼを登るルートがある。今回は後者を選択。草の上に積もった雪はしまっておらず、トラバースすら不安を感じる。みのさんが先に行き、私は残置ロープ終端の立木でセルフビレイを取って待機した。

中央付近に見えるのが残置ロープ

ルンゼの頂上にある立木から40mロープを降ろしてもらう。みのさんから合図があったのでセルフビレイを解除してルンゼに向かうが、ロープの末端がどこにも見当たらない。見上げると5mくらい上の出っ張りに末端が引っ掛かっていた。慎重に登って末端に近付くが、足元が安定しない。さらに末端だと思ったものはロープの途中がU字になったもので、末端そのものはさらに5m上にある。ひとまずロープのU字部分を手に取り末端を引き下ろしたところ、急にロープが上がり始めた。どうやらみのさんが引き上げの合図を送ったと勘違いされたようだ。ルンゼで私の身体は反っており、焦ってストップの声も出せない。何とかハーネスにロープを括り付けカラビナで補助的に固定するのがやっとだった。第一岩峰を登りきり、安全な場所でロープを外す。みのさんからロープの取り付け方がおかしいことを指摘されたので事情を説明した。声で合図を送ることが基本だが届きづらいときもあるため、代替手段も事前に擦り合わせておく必要がある。ロープを片付けていると小屋で一緒だったご夫婦パーティーが登ってきた。我々は邪魔にならぬよう先を急いだ。
続いて5mほどの岩峰が立ちふさがる。無積雪期ならロープなしで直登もできそうだが、今回は右から巻くことにした。足元の雪が想像以上に緩く、切れ落ちた右手側に寄らないよう慎重に進む。無事に通過すると、その先には第二岩峰と大天狗がそびえ立つ。

第二岩峰(左)と大天狗(中央)

第二岩峰は右から巻けるので難易度は低い。

第二岩峰を右から巻く

次はいよいよ大天狗、二つ目の核心部である。ここは岩壁を直登して大天狗の頂上を目指すルートと右手に少し下りながらトラバースして東側の狭いバンドに上がるルートがある。今回は後者を選択し、雪面をトラバースしてバンドの下に向かう。体感的にはほぼ垂直の岩壁を10m近く登らねばならず、万が一踏み外すと相当な距離を滑落しそうな場所である。まずはみのさんからアタック。思ったよりアックスの引っ掛かりが悪く、一手一手慎重に登る。少しハングする箇所があり一瞬ヒヤッとする場面もあったが、無事にバンドに到達。すぐに支点構築しロープを降ろしてもらう。安全確保されているがアックスが頼りなく、今回の山行で一番恐怖を感じた。バンドに到達して安堵したが、肝心のセルフビレイを取り忘れていた。いかなるときも気を緩めてはならない。小天狗を過ぎた辺りの開けた場所で一休み。大天狗と小天狗の間から富士山が見える、なんとも言えぬ絶景だ。

大天狗(中央)と小天狗(左)と富士山

しっかり腹ごしらえをして登山道への合流点である天狗尾根ノ頭へ向かう。

天狗尾根ノ頭へ

登山道に合流

天狗尾根ノ頭から先の登山道は、キレット小屋手前まで急峻なルンゼの下りとなる。歩きづらいだけでなく、下から強風が容赦なく吹き上げてくる。小石混じりの風が身体を叩きつけ、目も開けづらい。

急峻なルンゼを下る

キレット小屋の近くまで来ると風は穏やかになる。そこから樹林帯を登り返すとツルネの北峰と南峰にたどり着く。

樹林帯の先がツルネ

ツルネで記念撮影

後日談だが、C隊が赤岳から天狗尾根を見下ろした際、我々の想定ルートにトレースがほとんど見えなかったので心配してくださったようだ。
ツルネ南峰から先は東稜を下って出合小屋に向かう。ここからはみのさんに代わって私が先頭を歩く。

ツルネ東稜を下る

ツルネ東稜には支稜がいくつかある。特に右手の旭岳との間を流れる上ノ権現沢に下る支稜に入ってしまうと急峻な登り返しに難儀すると聞いていた。強風でトレースはかき消されているので先まで目を凝らす。

道標が見えるとあと少し

1時間ほど進むとしっかりした道標が現れ、そこから15分でツルネ東稜の取り付きだ。

ツルネ東稜の取り付き

出合小屋までは再び踏み抜きに注意して歩く。出合小屋に到着、あれだけ混み合っていた小屋の中はほぼ空っぽで、天狗尾根に向かった我々とご夫婦のテントだけが寂しそうに残されていた。手早くテントを撤収して装備もザックに片付け、前日通ってきた林道に沿って美しの森駐車場へ向かう。時折、後ろを振り返って天狗尾根を眺めて余韻にひたる。1泊2日の工程で余裕をもって挑むにはパーティーの人数は2名がベスト、多くても3名であろう(しっかりメンバーシップが築けていることが前提)。来シーズンにパートナーを連れていく約束をしているので、この1年はしっかりロープワーク技術を磨き、安全にリードできるよう経験を積み重ねていこうと思う。

(記 オヨシ)

笠取山

期 日:2019年9月29日(日)
参加者:Lオヨシ、ヒー

9月29日(日)晴れのち雨
作場平駐車場(10:15)-笠取小屋(11:45)-笠取山(12:30)-笠取山(13:35)~作場平駐車場(14:20)

笠取山は西峰の肩(山梨県域山頂)、西峰、中峰(埼玉県域山頂、最高峰)と東峰の4峰を有する珍しい山。そのため、9月の会山行では2パーティに分かれたことで、結果的に全てのピークを繋ぐことができなかった。今回の山行目的はそのピークハントである。
登山道はきちんと整備され、快晴で空気も澄んでおり好条件がそろっていた。

沢のせせらぎが聞こえる

しかし午後から雨予報であったため、序盤からペースを上げた。笠取小屋は営業期間を終了、前回は夕方に小屋番が鹿の餌付けをしていたそうだが、それも終えてしまったのか。そんなことを気にしながら分水嶺に到着、ここは多摩川・荒川・富士川の源泉である。

分水嶺

間もなく西峰の肩が笠取山一番の急登と共に姿を現す。その山頂には山梨百名山と記された立派な標識が立てられている。

笠取山(西峰の肩)山頂
富士山が見えた

南方の景色が素晴らしい。少しわかりづらい登山道を進み数分で西峰へ。ここには標識も三角点も何も設置されていない。

笠取山(西峰)山頂

さらにわかりづらい登山道の先に中峰があり、埼玉県と環境庁の名が刻まれたやや朽ちた標識と三角点がある。

笠取山(中峰)山頂

さらに5分ほどアップダウンを繰り返すと、最後の東峰に到着。

笠取山(東峰)山頂

これでやり残した目的は達成。北西の空に灰色の雲が増えてきたため水干を経由して早足に下る。笠取小屋では案の定、数頭の鹿が餌を求めてうろついていた。雨に降られる前に下山。今回は数パーティとしかすれ違わなかったが、紅葉が進めばまた登山客で賑わうであろう。

(記 オヨシ)

上高地~蝶ヶ岳~常念岳~大天井岳

期 日:2019年7月13(土)~7月15日(月)
参加者: A隊オヨシ B隊ヒー、他1名(非会員)

7月13日(土)曇りのち雨
A隊 三股駐車場(11:00)-三股(11:20)-蝶ヶ岳(14:40)-蝶ヶ岳ヒュッテ(15:00)

B隊を沢渡に送った後に三股登山口へ。雨予報の影響か、三股方面の利用者はさほど多くなく駐車スペースに停めることができた。連日の雨で足元は湿ってはいたが、気にするほどではない。登り始めて30分ほど経つと、投稿でよく目にする「ゴジラの木」が登場。珍しい自然の造形美である。

ゴジラの木

蝶ヶ岳までは緩急入り交じる登り一辺倒。歩荷であったがペースを下げずに黙々と登り、先発パーティに道を譲ってもらう。山頂はあいにくの霧だが、穂高連峰や槍が時折見える。一方、稜線上は冷えて風も強いため、テントを立てる位置も細心の注意を払った。ほどなくしてB隊が到着、翌日に備えて早めに身体を休める。


B隊 上高地(10:15)-徳沢(12:00)-長塀山(16:00)-蝶ヶ岳(17:00)-蝶ヶ岳ヒュッテ(17:10)

上高地は観光客が大半で賑やか、明神池以降は静かだった。

上高地からスタート

徳沢からいよいよ登山道となり、人気がなくなった。急登の樹林帯がしばらく続いた。傾斜が緩くなったあたりから、イワカガミなどのたくさんの高山植物が咲いていて、急登の疲れを癒してくれた。長塀山は展望がなかった。そこから少し歩くと、花が沢山咲いたメルヘンな池に着いた。妖精の池だ。

妖精の池

ついつい寄り道が長くなってしまう。心配したか、オヨシが迎えに来た。寄り道がバレてしまった。妖精の池から少し進むと急に視界が開けて、槍・穂高がドーンと目の前に現れた。

急に姿を現した槍・穂高連峰

間もなくして蝶ヶ岳の山頂に到着した。

蝶ヶ岳山頂

7月14日(日)曇りのち雨
A隊 蝶ヶ岳ヒュッテ(7:30)-常念岳(11:00)-常念小屋(11:45~12:45)-大天井岳(14:50)-常念小屋(16:20)

深夜に降り始めた雨は朝方まで続いたものの、徐々に弱まってきたので出発。蝶槍を過ぎた頃から対向のパーティとすれ違い始める。多くのパーティが蝶槍手前から横尾へ下山、もしくは蝶ヶ岳ヒュッテまで戻って徳沢へ下山するようだった。2時間ほど経過して最低鞍部に到達。ここからは岩稜登りが続く。相変わらずの濃霧だがしっかり目印も見え、岩の隙間も小さく思っていたより歩きやすかった。山頂に到達すると10名以上のパーティがくつろぎ道をふさぐ。写真撮影のために場所を空けてもらったが、とたんに雨風が強くなる。手拭いを広げながらの自撮りでは困難であったので記念写真はB隊に託し、足早に常念小屋に向かう。小屋に到着すると曇り空になってきたが、周囲の山々はガスで見えず。天気も夕方までもちそうなのでB隊が到着するまでに大天井岳までのピストンを決行。登山道は比較的整備されており、順調に飛ばす。

大天井へ向かう途中の雪渓

常念小屋を出て2時間ほどで大天荘に到着。そのまま向こうの大天井岳のピークへ登り詰め、タイマーで記念撮影。

大天井岳山頂

水分を多めに取り、同じ道を引き返す。15時を回っていたので、当然、誰ともすれ違わず。またも常念小屋まで孤独な時間であった。夜中にかけて、次第に雨足は強くなる。


B隊 蝶ヶ岳ヒュッテ(8:00)-常念岳(14:00)-常念小屋(15:30)

計画時に1泊での下山も考えたが、雪渓の様子が分からないのと同行の父親の体力を考え、安全第一で2泊とした。終始ガスっていたが時折、パーっと視界が開けて槍・穂高が顔を出した。とっても絶景だったが、カメラ不調で撮れず残念。

常念岳前の岩稜帯

蝶ヶ岳から常念岳は、アップダウンが続き疲れた頃に岩稜帯があるので初心者は要注意。後半は休み休み、ゆっくりと進んだ。

常念岳山頂

常念岳山頂では、雷鳥の親子が迎えてくれた。

子供を見守る親雷鳥

7月15日(月)曇り時々雨 
A隊 常念小屋(7:30)-前常念岳(9:00)-標準点檜跡(10:00)-三股(12:05)-三股駐車場(12:30)

天気は回復せず霧雨の朝に。最終日も時間との戦いになる。常念小屋に三股からの下山を自粛するような貼り紙があるためか、ほとんどのパーティは一ノ沢へ向かう。常念岳山頂と三股への分岐にさしかかると、雷鳥の親子に遭遇。10羽ほどで列をなす雛鳥たちの姿にとても癒された。気を引き締め、核心部である前常念岳に向かう。巨石が乱雑に並び、足を滑らせると隙間に落ちて身動きが取れなくなる箇所がいくつもあり、常念小屋の貼り紙にも納得できた。

前常念岳を振り返る

前常念岳山頂を過ぎても暫くは巨石で急な下り、一瞬たりとも気を緩めることができない。順調に高度を下げて樹林帯に入るも、前日の雨でぬかるみが続く。大きな檜の倒木(標準点檜跡)を過ぎると、水溜まりはさらに大きく、むき出しの根も増え、思うように早く下ることができない。退屈に感じながらも集中力を切らして転倒しないよう注意しながら黙々と歩く。沢の流れが聞こえ始め、間もなくして登山口に到着した。急いでB隊を迎えに一ノ沢登山口へ車を走らせる。


B隊 常念小屋(8:00)-一ノ沢登山口(12:30)

常念小屋の宿泊客はほとんどがこのルートを使って下りるようだ。安全第一で慎重に下山した。心配していた雪渓は登山道上にはほとんどなかった。一ヵ所雪渓を渡ったが、薄くなっていて逆に不安を感じたほどだった。

一ノ沢の雪渓

ここ数週間で人が入り、雪解けが進んだようだ。上部はまだまだ雪渓が残っていてとても綺麗だった。

(記 A隊オヨシ B隊ヒー)

峰谷橋~雲取山~三条ダルミ

期 日:2019年6月16日(日)
参加者:Lオヨシ、こー平

6月16日(日)
峰谷橋(7:55)-峰谷登山口(8:30)-七ツ石山(11:05)-雲取山(12:10)-三条の湯(13:40)-お祭バス停(15:50)
※計画では三条の湯からサオラ峠を経由して丹波役場前バス停に下りる予定

今回の山行スタイルは時間制限があるためトレイルラン。雲取山と言えば鴨沢からのピストンが定番だが、奥多摩三山方面に繋ぎやすくするため、より以東の峰谷登山口から入ることにした。

峰谷橋からスタート

峰谷橋で記念撮影した後、もうじきバスが往来する舗装路を足早に登山口へ。マイナールートのためか、集落に入ると登山道はわかりづらく荒れ気味、慎重にルートファインディングしながら樹林帯を進む。登り一辺倒であるがトレイルランなので無理ない程度に走る。千本ツツジと呼ばれる小ピーク付近には色鮮やかなツツジの群生が広がっていた。暫く尾根を進むと七ツ石山に到着、我々の背丈を超える立派な石標がどっしり構えていた。

七ツ石山山頂

少し下ると鴨沢ルートと合流し、段々と賑やかになっていく。ゆっくり歩くパーティもいれば、我々と競うようにせかせかと走るパーティも少なくない。標高1700m辺りを過ぎると緩く長い登りになっていく。雲取山山頂までのこの区間で時間を稼ぐことは必須であるため、これまで以上にペースを上げる。山頂は思ったより騒がしかったが、並ばずに記念撮影はできた。

雲取山山頂

石標の大きさは先ほど見た七ツ石山と同じだった。広げた手拭いを見て話しかけてくる方もおり、壮大な計画を話すと予想通りのリアクションだった。ここから三条の湯までは下りだが、道幅が狭く滑りやすいため駆け下りることができない状態が続いた。これは誤算だった。結局、ペースを上げられず三条の湯に到着。

三条の湯

少しゆっくりしていきたい気分であったが、バス乗車の予定時刻までおよそ2時間で、乗り遅れると2時間半待たなければならない。当初計画の丹波役場までのコースタイムは4時間、お祭までは3時間弱。登山道の状態が悪いことも想定し、お祭に向かうことに変更。舗装路の区間もあったので多少ペースは上げられたがギリギリなのは変わらず、徐々に腕時計を見る頻度が増えていった。バス到着10分前に下山。息が整わないが忘れずに記念撮影。

バス停近くの飛竜山登山口

奥多摩駅までの40分間は二人共疲れはてて寝てしまったのは言うまでもない。

(記 オヨシ)