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槍ヶ岳・三俣蓮華岳 DAY4

【A隊】槍ヶ岳・三俣蓮華岳
期 日:2024年8月10日~8月13日
参加者:Lコイケちゃん、レジェンドM、おんちゃん

8月13日(火)晴
三俣山荘(4:00)~かぶり岩(4:40)~第一庭園(5:00)~茶屋予定地(6:50)~第5吊り橋(7:10)~第3吊り橋(8:40)~ガンダム岩(9:50)~第1吊り橋(10:00)~噴湯丘(10:30)~湯俣山荘(11:20)~名無し避難小屋(12:50)~林道終点(13:20)~高瀬ダム(14:10)=(タクシー)七尾山荘(14:40)下山

伊藤新道は、普段より15㎝程水量が多いとのこと。身長160㎝の方で、腰より上に水が来たら渡渉点を間違えていると教わった。午後から雨予報であったので、計画より1時間程度早めまだ暗い4時に出立した。三俣山荘から尾根の先まではほぼ同じ斜度でトラバースしていく。けもの道を拡げたものではなく、きちんと調査をして計画設計を行って開いた道らしい。第一庭園まではほぼ同勾配であった。道は細いが快適だ。伊藤新道の入口伊藤新道の入口

途中、クマの糞を見つけそのあと低いいびきのような異音を聞いた。クマか?とも思ったが、確認しているうちにクマに出会ってしまっては大変と先を急いだ。尾根から川まではかなりの急登を降る。ここでカップルのパーティとすれ違った。さすがにこの時間は早すぎるので途中ビバークしたのではなかろうか。FIXロープを頼りにぐんぐんと高度を下げる。
ようやく沢に出たが、ここで沢には入らず高巻道を降る。途中茶屋予定地の看板があり、近い将来この付近に避難小屋が出来るそう。ここで避難小屋が出来れば伊藤新道はだいぶ楽になるだろうと思う。第5吊り橋は破損していたので、そこから入水。登りに使用した水俣川に比べて水温はそれほど低くない。所々硫黄臭が強いので地熱のせいか温泉でも流入しているのか。まだ上流域であるため水量も少なく、水深はひざ下程度で、どなたがやってくれたのか渡渉点にはケルンがあるので、悩むことなく渡渉を繰り返した。
沢沿いを降りる沢沿いを降りる

第4吊り橋は不明。第3吊り橋も破損で使用不可。この辺りから渡渉に悩むようになる。水量も下流へ行くにしたがって増える。股まで濡れることもしばしばだった。上がってくるパーティは尾根で会った組を加えても4組ほど。パラパラと云った感。伊藤新道は9月がシーズンだとおんちゃんから教わる。渡歩は深いところで股上渡歩は深いところで股上

その後ヘツリ場の足場は難なくクリアしたが、ガンダム岩で高巻きし過ぎてロープの上に出てしまい行き詰まる。戻って中段を巻いた。硫黄臭が強くなってくると噴湯丘だ。あちこちで温泉が噴き出している。触るとかなりの高温だったので、浅瀬の川の水と混じる辺りを探して束の間の天然温泉を楽しんだ。ヘルメットをしたまま温泉に入ったのは初めてだ。硫黄のにおいを身にまといながら最後の渡渉を終え、湯俣山荘まで戻り、山荘へ下山報告。濡れた装備をほどき、しっかりと休憩した。あとはほぼ水平の下山だ。冬合宿はどこにしようかと、気楽な林道歩きで16時の最終のタクシーを待たずに14時10分にタクシーに乗り込み下山完了した。天然温泉天然温泉を味わう

あとがき

話は戻るが、昨年の夏合宿で暁山岳会のもう一人のレジェンドYさんと三俣山荘に連泊した時に、「伊藤新道」が復活したと聞いた。おんちゃんとも、いつか行ってみたいねと話したことに端を発する。今年の夏合宿の行先を決める際、伊藤新道に行こうかと決めたが、さて伊藤新道を遡った後、どこへ行ってどこを降りるようか。水晶や鷲羽は昨年の夏合宿で登っていたし、雲ノ平では遠すぎるきらいもある。自家用車を利用するので、出来れば登山口と下山口は合わせるかせめてタクシー移動圏内にしたい。
ふと地図を見ると、伊藤新道から硫黄尾根をまたいで「北鎌尾根」が目に留まった。これも昨年の夏合宿で槍ヶ岳に登った際に、山頂から見下ろした北鎌尾根。その時にちょうど1パーティが上がってきて、私たちもその勇者たちに拍手を送ったのを思い出した。いまの経験や技術なら北鎌尾根も行けるんじゃなかろうか。

であれば、湯俣から入山して水俣川を遡行し、北鎌尾根に取り付いて帰りを伊藤新道にしてみてはどうだろうかと思いついてしまった。そう、まさに思いついてしまったのだ。ネットで山行記録を漁ると、やはり思いついてしまった人たちの記録が出てくる。水俣川も湯俣川も沢登りというよりも基本は渡渉する川で、あまり難しくは無さそうなのも幸いしたし、ガチャなどの沢装備はそのまま北鎌尾根でも使えるはずだ。川沿いの遡行は涼しいであろうという目論見もありレジェンドMさんに相談した。Mさんは、残雪期等で北鎌尾根は登っているので、いまさらと言われるかと覚悟したが、以外にも「そろそろもう一度登ってみたかったんだよね。ただルートはよく検討しないと」との回答に不安と安堵の混ざった複雑な心境になったのを覚えている。

暁山岳会の先輩にアドバイスをもらおうと「北鎌は行ったことがありますか」と聞くと「北鎌は、どちらかというと岩登りよりもルートファインディングだ」と教わった。確かに、よく踏み間違えた。槍ヶ岳山頂に至るまで10回くらい間違えたと感じるほどだ。
しかし、久しぶりにワクワクと不安の入り混じるルートであった。計画を練れば練るほど、他者の報告を見れば見るほど「不安」と「行ける」という気持ちがより深まる。取付いてしまえば、エスケープルートは行くか戻るしかない。おんちゃんに不安な気持ちを吐露するたびに、「大丈夫だよ」という。そのたびに不安が強まるのも不思議な感覚であった。

初日は沢の遡行に、2日目が北鎌尾根、3日目が夏休みで最終日が伊藤新道での沢下り。このルートはなかなか気も抜けないようでいて、しかし安息日もあり、最後の最後までワクワクの止まらない名ルートだと思う。下山してから気付いたが、遡行したのが「水」俣川で、下った伊藤新道側は「湯」俣川。どちらも俣川は同じ字を使用している。思い返すと確かに、水俣川は雪解け水でものすごく冷たく、上流に行けば行くほどよく冷えていたが、湯俣川は上流部も少し温い感じ。下流に行けば温泉とも合流してとても温く感じた。命名した人も、この温度差を感じていたのかもしれないと思うと感慨深い。そのうちに、この三俣山荘が舞台の「黒部の山賊」も読んでみようと思う。

最後に終始リードしてくれたおんちゃんは、ルートをよく読んでシッカリとチームを引っ張ってくれて感謝します。また、レジェンドMさんはやはり困った時に抜群の安定感であった。行き詰まることに恐怖を覚える私にとって、無くてはならない安心感を与えてくれた。今回、Mさんが居たから行けたようなもので、だからこそいつかまた誰かが、このルートを行きたいと言われた時には、自力で行けるように経験を積み増ししていかねばならないなと思った。そして、計画段階で参加予定だったゆうさんが直前で参加出来なくなってしまったことは、とても残念だった。いつか行ける時が来たらご一緒します(たぶん)。

槍ヶ岳・三俣蓮華岳 DAY3

【A隊】槍ヶ岳・三俣蓮華岳
期 日:2024年8月10日~8月13日
参加者:Lコイケちゃん、レジェンドM、おんちゃん

8月12日(月)晴
殺生ヒュッテ(6:00)東鎌尾根~槍ヶ岳山荘(6:50)~千丈乗越(7:40)~双六小屋(11:00)中道ルート~三俣蓮華岳(13:50)~三俣峠(14:10)~三俣山荘(14:40)

今日は、移動日である。西鎌尾根を行くので、昨日北鎌尾根を行ったのなら東鎌尾根から行こうということで、殺生ヒュッテから朝一の東鎌尾根に上がる。千丈乗越へ降る途中TJAR(トランスジャパンアルプスレース)の選手とすれ違う。日本の3大アルプスをつなぐトレランのレースだ。聞けばすでに朝のうちに1~3位まで通過したとのこと。三俣蓮華までルートになっているので、多くの選手を応援しつつ、その壮大なルートに挑戦している人たちに、自分たちも励まされた。おんちゃんは「なんでこんな大会に出ちゃったんだろうな」って思うことはありますかなどと、選手に聞いている。失礼な話だが、選手の方も気さくに「しょっちゅうですよ」とユーモアで返してくれていた。頂上2

快晴の天気と気持ちの良い稜線歩き。恐れるものもなく、強い日差しには閉口したが、まさに「夏休み」と云った1日となった。足元をまくり上げていたため、ふくらはぎを強烈に日差しに晒してしまった。靴下の跡が生々しい。三俣山荘では、テントの受付と共に明日伊藤新道を降る旨伝えると、電子申請で伊藤新道の通行届を出した。最新の情報を仕入れつつ、混み合うテン場に2張のテントを張らせてもらい。流れる小川で足を冷やしながら、ビールやワインを頂く、まさに飲んだくれの夏休みだ。
小川は冷たく1分と足を降ろしておけぬが、隣で宴会をしていたTJARの応援に来たというトレランチームの皆さんと意気投合した。九州ご出身の方が多く、「いつか九重山坊がつるで飲みましょう!案内しますよ」と約束した。山の話から離婚した嫁が浪費家だったというもはや人生の話まで、夏休みにふさわしい愉しい時間であった。
頂上3

明日は最終日だが、初めての伊藤新道。いくつかの橋が使えない分渡渉も多いと聞いた。不安と北鎌尾根を歩けた少しばかりの自信と疲れから、日暮れてすぐに寝床についた。翌朝目覚めると今回はシングルウォ―ルのツエルトは、ものすごい結露で、収納ケースに入れても絞ると水が垂れるほどだった。

槍ヶ岳・三俣蓮華岳 DAY2

【A隊】槍ヶ岳・三俣蓮華岳
期 日:2024年8月10日~8月13日
参加者:Lコイケちゃん、レジェンドM、おんちゃん

8月11日(日)晴
北鎌コル(5:00)~天狗の腰掛(6:30)~独標のコル(7:20)~独標(8:20)~北鎌平(10:50)~槍ヶ岳山頂(12:30)~殺生ヒュッテ(14:20)幕営

2日目北鎌のコルで出発前に

朝はしっかり明るくなってから行動をスタート。気分的に緊張感漂う中いきなりの急登。足元が定まり切れないので、常に3点支持の格好だ。通常の山道ならなんて事の無い斜度も、北鎌と云う緊張感からか自身でも慎重に歩いていると感じる。昨日の滑落した際にしこたま打ち付けた臀部は幸い腫れることもなく、痛みも昨夜より和らいだ。ただ、深夜の寝返りには閉口した。寝返りを打つたびに臀部が痛み右側を向いて寝付けない。テントの中でも、普通に座るとひどく痛んだ。とはいえ、すでに本番が始まってしまっているので、痛いとも言っていられない。昨日詰め上げで迷ってしまったことも、メンタル引きずりパーティの最後尾を何とか付いていった。
いくつかの小ピークを過ぎるとみるみる迫る独標は大きく圧し掛かり、登れるのだろうかと不安は募る。
独標が大きくのしかかる独標が大きくのしかかる

独標のコルで先行していたオレンジヘルメットのH山岳会に追いついた。ソロシステムで直登するという。このために30mロープとグリグリを使って三つ峠で訓練してきたと言う割には不安そうだ。再会を約束して我々は巻道へ。右側のFIXロープで迂回し、踏み跡が薄くなってきた辺りで尾根に向かって直登した。尾根に出ると独標を通り過ぎてしまっていたので、5分ほど戻り独標を踏んだ。槍ヶ岳がまだまだ遠くに見える。いくつもピークを踏みそのたびに槍ヶ岳が大きく迫る。遥か後ろを見るとオレンジのヘルメットが見えた。どうやら無事に直登できたようだ。少し安心した。北鎌平で休憩北鎌平で休憩

そのまま大きなピークのP15を右側に巻いて詰めると、そこは北鎌平であった。槍ヶ岳の大槍がものすごい迫力で迫る。大きな岩のガレ場を西側に向かって詰め、岩の上の薄い踏み跡をたどるが、山頂への取付きが果たして合っているのか不安でいるとレジェンドMさんから「ハーケンがあるはず」とのアドバイスがあった。ロープやスリングなどの残置物を目安になるべく体の露出の少なそうな個所を選んで上った。ロープを出すか悩む個所もこのメンバーならとそのまま強行した。ラスボス大槍ラスボス大槍

ふと見上げると、沢山の登山客がこちらを見ている。そこが槍ヶ岳の山頂であった。詰め上げると、山頂では他の登山者が拍手で迎えてくれた。みなすごいなと褒めてくれるが、あまり皆に言われるので、少し恥ずかしい。山頂での記念写真は、我々と山頂直下で追いついてきたオレンジヘルメットのH山岳会、そして金沢から来た昨日北鎌の出会でテントを張ったソロの青年と写真を撮った。ツアーの団体が来ていたので、槍ノ肩まで降りるだけで30分ほどかかった。すれ違いざま登っている人に聞くと登りはすでに50分待ち。この調子だと山頂まで2時間は掛かりそうな大渋滞。自分たちも登っておいてなんだが、槍ヶ岳の人気はすさまじい。北鎌に取り付いている間は8人しか出会っていないので、人と見ると皆仲良くなる。こっちのルートが行けそうだよとか、ここ行くと直登だよとか情報交換をしているうちに皆仲良くなるが、山頂以降は人とすれ違っても挨拶すらまばらだ。都会ですれ違う人にあいさつする人は皆無だが、そんな感じだ。
肩へ降り幕営計画であった槍ヶ岳山荘テン場はすでに満員御礼。西鎌尾根のテント適地を探すつもりだったが、皆疲れ切っており一つの目標が達成されてしまうと馬力が出ない。大人しく殺生ヒュッテで幕営した。久しぶりにたくさんの人の気配に囲まれて安心だ。
頂上頂上!

槍ヶ岳・三俣蓮華岳 DAY1

A隊】槍ヶ岳・三俣蓮華岳
期 日:2024年8月10日~8月13日
参加者:Lコイケちゃん、レジェンドM、おんちゃん

8月10日(土)晴
七尾山荘(前日22:00)仮眠=(タクシー)高瀬ダム(6:00)~林道終点(7:00)~名無避難小屋(7:30)~湯俣山荘(8:30)~水俣川出会(8:50)~千天出会(11:15)~北鎌沢出会(13:30)~北鎌コル(18:00)幕営

高瀬ダムまでの移動は、タクシーだが林道が崖崩れて車両通行できず、七尾山荘でタクシーに乗り、タクシーのUターンが出来る箇所で途中下車して1.4Kmほど徒歩で通過し、その上部で再度タクシーに乗車せねばならない。下段に2台、上段に2台の配車で尚且つ夏休みのスタートとあって、タクシー乗り場は長蛇の列で有った。おんちゃんが気を利かせて、乗車の列に早めにザックで順番をキープしてくれたので、比較的早く乗車することが出来たが、いきなりの時間のロスである。随分と後ろに並んでいたパーティは、痺れを利かせて徒歩で向かう組もあった。タクシーは少ないが、会社は時間が出来たら上高地へ応援に来いと言われているとタクシーの運転手さんがぼやいていた。
高瀬ダムで2台目のタクシーを下車し、高瀬ダムの不思議な白みがかった湖面を見ながら、「犬神家の一族のすけきよの足が生えてそうだ」などとくだらない話で気を紛らわせながら、林道を1時間ほど進んだ。そして、登山口からはほぼ水平の山道を歩き水俣山荘へ。林道では途中いくつか長いトンネルを抜けたが、ヘッドランプなしでは歩けぬほど暗かった。去年大改装した水俣山荘は、白と木目を生かしたデザインで随分とおしゃれだ。
おしゃれな湯俣山荘おしゃれな湯俣山荘

店内にはバーカウンターもある。働いている方々も若くあか抜けた印象で、人懐っこい。いつかこんな山荘で寛いだ時間を過ごしてみたい。
ここで沢装備を身につけ、湯俣川と水俣川の出会いへ。吊り橋を渡って河原へ降りると1パーティ準備していた。ここから早速渡渉が始まる。この時期の雪解け水はまだまだ冷たい。ふともも付近まで水に濡れたが、30秒程度で足は冷え切ってしまうので、渡渉はなるべく避けたいが右岸に左岸と容赦なく渡渉を強いられる。水流の強いところは肩を組んで渡り切った。普段ストックは持たない主義だが、渡渉にはストックの効果は絶大だ。おんちゃんが気を利かせて私に一本貸してくれた。
下流部の渡歩は当然深い下流部の渡歩は当然深い

途中、残置ロープに導かれ、左岸をヘツッたが、足を滑らせ3mほどのスラブを滑落。浅瀬に水没し右臀部を強打した。幸い何とか歩けたが、右足での岩の乗り越しは痛みが強い。よく観察すれば、この水量ではヘツル理由は全くなく、たとえ滑落せずにスラブを進めたとしても深い淵に行き詰まるだけで、全く意味のないヘツリであった。残置ロープとは言え、そこがルートであるという印ではないのだ。長い年月で地形も変わってしまっているのかもしれない。スタートから臀部は痛むがいい経験を得られた。ただ、この一件でリードを歩く自信はすっかり無くしてしまった。素直に國井さんにリードを譲る。
その先、千天出会いを高巻いて、天上沢へ入るのだが、この高巻きが結構渋い。踏み跡も笹に隠され、斜度もきつく、付いていくのがやっとであった。天上沢側に入ると川幅も細まった。この辺りがP2の取り付きだ。残置のワイヤーロープとピンクテープが残されていた。そこを過ぎると川幅は次第に広がり水量が減り、気が付けば100mは有ろうかというゴロ石の河原となった。川の水が無くなれば10分程度で北鎌沢出会いへ到着した頃には、メンバーも皆疲れ切ってしまっていた。
本来ここで幕営の予定だったが、水俣乗越から降りてきたソロの方はコル、もしくは天狗の腰掛までは今日のうちに行くという。そのあと到着した青年は、計画通りにここでテントを張るという。しばらく悩んだが、まずは腹ごしらえと持参したパンをかじる。もぐもぐしているとだいぶ体力も戻ってきた。時間がまだ早かったのと、コルまで上がってしまえば明日のうちに北鎌尾根を脱出する確率が上がるので、メンバーと相談して、1時間ほどしっかり休憩を取って北鎌コルを目指す。休憩の合間に源頭部へ戻り、水を各自5L汲んで上がったが、2100m付近まで沢で水が湧いていた。重荷に苦心したので、ここで汲めばよかったが万が一水が無ければ行き詰まってしまうので、仕方がない。
後ろを振り向くと、我々以外にオレンジのヘルメットが追いかけてくる。コルは狭いので、早くテン場を確保せねばならない。遅れるメンバーを尻目に先を急いだ結果、私一人詰め上げでルートに困ってしまった。きっとこの先に北鎌のコルは有る。藪をかき分けトラバースして北鎌のコルに先に行こうか悩んだが、これ以上パーティが伸びてしまっては遭難しかねない。トラバースせずにしばらく待ってみたが、その間にオレンジのヘルメットの方には追い抜かれてしまった。しかしいくら待っても、上がってくるはずのレジェンドMさん達も上がってこないので、大声で位置を確認しようと呼びかけるが、先ほどまで聞こえていた声も山に反射して隣の沢から聞こえてくる。
翌日引っかかった翌日引っかかった

これはきっとおんちゃん達がルートを間違えたなと思い、慌てて来たルートを降る。周囲はいつの間にかガスが出て視界は30mほどになってしまった。日暮れも迫っている。目に見えぬおんちゃん達は隣の沢にいるようだ。おいおいそっちは間違いだよ!と言おうと思ったら、北鎌のコルに着いたという。どうやら道を間違ってしまったのは私だったようだ。誰かの山行記録にあったが、これがクライマーズホイホイか。まんまと引っかかってしまった。
再度沢を100mほど降り、薄く隣の沢へのトラバースの踏み跡を見つけ分け入ったが、踏み跡も途中で消失した。怖くなって「おんちゃん、どこー?」と必死に私が叫ぶ。一人となってみるとものすごい孤独感が襲って来た。しばらく声をかけ続けると、ようやく向こうは私のヘルメットが見えたらしい。おんちゃんの声を頼りに藪を強引にトラバースしてようやく合流できた。バリエーションルートでは、メンバー揃った行動が大切だと痛感した。日も暮れる寸前に北鎌コルへ到着し幕営。追い抜いたオレンジのヘルメットの方は、コルよりも少し南側の尾根を大変な思いをして詰め上げ、コルへと降りてきた。コルは3張りで満員。お話ししてみると、神奈川県岳連の老舗H山岳会のソロの方だそうだ。明日はいよいよ本番だが、先が思いやられる。

横尾山・小川山

期 日:2023年5月26日~27日
参加者:Lレー子、ダイヤ、ヨッシー、ケージ(暁OB)

5月26日(金)晴れ時々曇り
信州峠(11:12)-カヤトの原(11:48)-横尾山(12:10~12:33)-カヤトの原(12:52)-信州峠(13:23)=瑞牆山荘駐車場(13:50~14:10)-富士見平小屋(15:00)

昨年7月、名誉会長の磐梯山追悼登山でケージとヨッシーが日帰り参加となったため、宴会山行を計画し名誉会長の思い出話しをしようね、と約束していたが諸般の事情で延び延びになり、ようやく実現することができた。

ダイヤさんは26日午前中用事があるため遅れての参加。ケージ、ヨッシー、レー子の3人で韮崎駅に9時50分集合。ヨッシーの車で信州峠に向かう。本日は瑞牆山荘に近い横尾山に信州峠からの往復とする。このルートは暁山岳会50周年記念登山でコーノさんが清里駅から瑞牆山荘までを繋いでくれたルートの一部で、ロングルートを歩いてくれたコーノさんに感謝しながら信州峠を出発。峠には車5~6台は駐車可能。気持ちの良い樹林帯を緩やかに登り、わずかな急登を登りきるとカヤトの原に出る。ここからは展望が開け、金峰山や明日登る小川山、眼下には川上村のレタス畑が広がる。ケージは学生の頃、夏休みに1ヶ月レタス農家に住み込み、毎日小川山を眺めていたのでいつか登りたいと思っていたとのこと。

山梨100名山の横尾山に到着。山頂から先、清里方面への踏み跡が続いている。それなりに歩かれているようだ。山頂で記念写真を撮り下山開始。

横尾山山頂

信州峠からは再び車に乗り瑞牆山荘に向かう。駐車場は平日にもかかわらず、かなりの車が止まっている。先週末の瑞牆山は大渋滞だったとか。出発の準備をして13時59分着のダイヤさんを待ち、富士見平小屋を目指す。わずか50分の登りで富士見平着、すでにたくさんのテントが張られている。テント場代はひとり1000円だが、ソロテント4張りは張れそうなウッドデッキが3ヶ所あり誰も張っていない。板張り利用は1張り500円とのことで、+500円払いヨッシーのほぼ新品のエスパースマキシム4~5人用を張り宴会開始。昔の合宿など、思い出話しに花が咲き、宴会は21時近くまで続いた。翌日ヨッシーは17時までに帰宅しなければならないので、朝4時30分出発として就寝。

5月27日(土)晴れ時々曇り
富士見平小屋(4:49)-小川山分岐(5:10)-伐採小屋跡(5:30~5:40)-八丁平(6:10)-瑞牆山東尾根分岐展望台(6:40~6:50)-シオサブの頭(7:13)-小川山(8:00~8:26)-八丁平(9:50)-富士見平小屋・テント撤収(10:47~11:22)-瑞牆山荘駐車場(11:58)

3:30起床、各自簡単な朝食を済ませて出発。瑞牆山に向かうルートを20分程進み小川山方面にルートを取る。ここからは静かな山歩き。沢沿いに緩やかに登り沢を渡渉。ここは伐採小屋跡地で多少小屋の残骸はあるものの、静かで気持ちの良い沢の源流部。焚火跡もあり最高の幕営地だ。八丁平を過ぎると瑞牆らしい岩混じりの急登がしばらく続く。やがて瑞牆山東尾根の分岐手前で踏み跡を登ると4人立つのがギリギリの岩場に出る。本日最高の絶景ポイント。

絶景ポイント

瑞牆山、金峰山五丈岩が間近に見える。絶景ポイント少し先に「小川山-金峰山」の標識がありここが瑞牆山東尾根ルートの入口になる。ここは破線ルートにもなっていないが、踏み跡ははっきりしており、それなりに歩かれているようだ。ここからは緩やかな長い樹林帯の歩きとなるが、途中「シオサブの頭」と小さなプレートの付けられたちょっとした岩場を通過。その先で小川山ルートに入って初めての登山者とすれ違う。廻り目平から小川山に登り、この後金峰山から廻り目平に戻るとのこと。登山者とすれ違った直後、小さな岩場を先行した田中が右から回り込むルートに進んだが、後続が来ず、その場から尾根に上がれそうではあったがルートミスと判断し、一旦戻って岩場を乗越し3人に追いついた。帰りに確認すると巻きルートには白ペンキが付けられていた。この小川山ルートはしっかりした登山道ではあるが、やはり破線ルートなので注意が必要だ。廻り目平からのルートと合流すると間もなく小川山山頂に到着。

小川山山頂

クライマーの聖地・小川山とはかけ離れた樹林帯の中の地味な山頂だが、昨日に続いてここも山梨100名山。吉原さん以外は初めての小川山登頂に満足して下山開始。計画では大日岩経由で富士見平に戻る予定だったが、だいぶ時間がかかりそうなので往路を戻ることとし、伐採小屋跡でゆっくり休憩してテント場に戻るが、瑞牆山との分岐まで戻ると喧噪の世界に引き戻されてしまった。小屋に戻りテントを撤収。整備された良いテント場だったが、やはり伐採小屋跡のような誰もいない静かな場所での幕営が好きだなぁ、と思いながら下山開始。瑞牆山荘駐車場は既に満車で道路の両脇にもびっしり駐車されており、人気の山域だと実感。次回の宴会山行はもう少し静かな暁らしいテント場を探そう!

(記 レー子)

妙義山(金洞山)

期 日:2020年11月15日
参加者:Lオヨシ、カワマサ

2020年11月15日(日)晴れ
県立妙義公園大駐車場(7:30)-中之嶽神社(7:53)-堀切(9:12)-鷹戻しの頭(10:09)-東岳(10:53)-中之岳(11:07)-駐車場(11:45)

中国の桂林を彷彿させる日本三大奇景の一つ、妙義山。かつては海底だった部分が地殻変動により隆起し、浸食や風化によって今の姿になった。今回はカワマサさんをお誘いして鷹返しを含む金洞山ルートにチャレンジ!

中国の桂林のような山容

駐車場から数分、日本一大きな大黒天様が祭られている中之嶽神社の長い石段を上ると登山道に入る。

大きな大黒天様がお出迎え

ハイキングコースの石門エリアは昨年の台風19号以降に幾度か崩落があったようだ。

倒壊した東屋

見事に色づく紅葉に目を奪われながら登山道を歩いていると、稜線に出るための分岐である堀切をうっかり見逃してしまい慌てて戻る。

どこを見てもキレイな紅葉

堀切には下りでの利用を控えるように注意書きがある。確かに岩稜が小石や砂で滑りやすい。

堀切の目印はわかりにくい

稜線に出ると「この先危険!!」と書かれた看板があり、その先には鷹戻しが待ち構えている。

看板が見えたら気を引き締めて!

妙義山系では毎年10件以上の滑落事故が発生している。難易度が高い区間は、セフルビレイコードのカラビナを鎖に通して安全確保する方法もある。女坂分岐までは短い鎖場がいくつかあり、分岐を過ぎて急登を詰めたところが鷹戻しの取り付きである。

上り始めたら後戻りはできません

まずは数年前に交換されて丈夫になった三連のアルミハシゴを上る。

とても安心感のあるアルミハシゴ

その先の50mの鎖場がこのルートの核心部である。

ここから頭まで写真が撮れる体制になれませんでした

おおよそ四段に分かれており、狭いが途中のテラスで腕を休めることもできる。力み過ぎず、しっかり鎖を握って足場を確認しながら上り続ける。鷹戻しの頭に到着、景色を堪能してから鷹戻しを覗き込むと、確かに楽ではないルートであることを再認識する。

北東に見えるのは相馬岳
見下ろすと容易ではない岩壁だったと改めて認識

続いて鎖のない15mほどのルンゼを下りる。ホールドは多分にあるが足場が非常に見えにくい。ここは滑落事故が多く、不安であれば懸垂下降をお勧めする。

上りやすそうだが下るのは一苦労

休む間もなく、次はルンゼ内二段25mの下り。ここには太く頑丈な鎖が付いているが岩壁に対して垂直に沿っておらず、鎖に頼り過ぎると岩壁から離れてバランスを崩してしまうので要注意である。

鷹戻しに劣らないルンゼの下り

金洞山の最高峰・東岳に向かっていくとコルから石門エリアへのエスケープルートがある。エスケープと言っても足場が悪く下るのも一苦労のようで、ここも懸垂下降が良いようだ。ほどなくして東岳山頂に到着、そこから妙義山系の全容が見渡せる。

麓の様子も良く見える

まだまだ鎖場は終わらない。三段30mを下り、断続的な50mの岩稜帯を上り返した先には最後のピークである中ノ岳がある。

上りとしては最後の鎖場

山頂には祠が祭られている。

中ノ岳山頂の祠

ここから石門エリアに向かって下るが、またもやルンゼ内の鎖場から始まり、所々にFIXロープが張られているザレ場をトラバースする。

鎖場で一気に高度を下げていきます
FIXロープは黄色なので見逃さないように

最後まで集中力を切らさぬように。石門エリアまで戻ると、朝とは違って紅葉狩りに来た多数の観光客の姿があり、駐車場も空き待ちの列ができるほど満車であった。
夏の妙義山はとても暑く(丹沢ほどではないが)ヒルもいるので、やはり涼しくなる秋が良いだろう。また妙義神社側の相馬岳ルートは金洞山ルートよりも難易度は下がるが油断してはならない。全て縦走する場合は余裕をもって10時間は見ておくこと。

(記 オヨシ)

加加森山~池口岳~鶏冠山

期 日:2020年11月4日~5日
参加者:ヨッシー

南アルプス南部の光岳以南を深南部または最深部と呼ぶことがある。1985年の春山合宿では小無間山から信濃俣を経て光岳小屋まで来た。1992年に易老沢から光岳、1997年に池口沢から池口岳北峰に登っているが加加森山と鶏冠山は初めてだ。

2020年11月4日(水)快晴
池口岳登山口(7:12)-黒薙(9:12)-ザラナギ(10:24)-JCT(11:55)-加加森山(13:35)-JCT(15:02)-池口岳北峰(15:22)(幕営)

以前来た時の林道終点地点にある登山ポストに登山届を投函する。その先の未舗装の林道を登山口まで進み、広い路肩に車を停める。他に車は無い。池口岳北峰まで6時間25分の標識に身構えてしまう。行動分を含め5リットル超の水が重い。牛首までは緩やかな登りが続き、尾根の北側の樹間からは「日本のチロル」と呼ばれる下栗の里が見える。牛首の先に小さい下りがあるが黒薙まで順調に高度を稼ぐ。黒薙は尾根の南側が崩壊しているが、登山道までは崩れていない。ここで目指す池口岳と鶏冠山が姿を現す。黒薙(1858m)から1983mピークまで緩やかな登り下りとなり、ザラナギ、テント場、水場下降点と続く。

ザラナギより左奥が加加森山

テント場は尾根の広くなった場所にあり、登山者の数からして十分すぎる広さがあるが快適な場所は少なそうだ。水場もかなり下らなければならないようである。下りのちょっとした岩場が続くとJCTへ300mの登りになる。JCTで予定を変更し加加森山を目指す。なぜかこの時だけメール送信が出来た。不要な水分をデポする。JCTから下りきった辺りにも水場下降点の標識があった。樹林が切れ、目指す加加森山や光岳、北の山々が見える。途中に広い草原のような所があり、テントを張ったら気持ちが良さそうだ。登山道が緩やかに東から北に向かう辺りから樹林帯になる。光岳と加加森山の分岐点から一足で加加森山山頂。予想通り展望は無い。

加加森山山頂

証拠写真を撮り帰路に就く。往路では気にしていなかった池口岳やさらに南部の山々が見える。信濃俣や百俣沢の頭が見えていたはずだがよく分からなかった。JCTでデポを回収し池口岳を目指す。

左加加森山の右に光岳

霧氷が落ちて白くなった道を一登りで池口岳北峰に到着。

池口岳北峰

やや広い山頂の片隅にテントを張る。この日は寒い一日で、登り始めの頃こそ汗をかいたが、途中からは汗も出ず体が冷えてくる始末。上着を着ていたが体が冷え切ってしまった。焼酎のお湯割りでは体が温まらず、FDのリゾットを食べてやっと体が温まった。寒い時は汁物が一番というのが身に染みた一日であった。

2020年11月5日(木)晴れ
幕営地(6:10)-池口岳南峰(6:38)-鶏冠山北峰(7:59)-鶏冠山南峰(8:34)-鶏冠山北峰(9:11)-池口岳南峰の肩(10:38)-池口岳北峰(11:07~11:45)-ザラナギ(13:13)-黒薙(14:23)-池口岳登山口(16:13)

昨夜は思ったより冷えこまなかった。冬用のアンダーウェアを着込み、内張りとリゾットの効果か。フライシートも濡れていない。ツエルト代わりに持っていく。池口岳南峰への道は細いが迷うことはない。池口岳南峰から鶏冠山へのルートは山頂から少し戻った所にあるポールが目印だ。少し分かりにくいがヤマレコのGPSログが役に立つ。ルートか獣道か分からない狭い尾根を下るが危険な所はない。目印のテープは少ない。下りきった辺りから尾根が広くなり笹が多くなる。笹平は開けており眺望が良く、膝丈位の笹原の中を獣道が縦横に走っている。

笹平より鶏冠山

笹平から鶏冠山への登りに明瞭な踏み跡は無く、適当に見当をつけて登るしかない。目印も少なく気休めにもならない。薮漕ぎという程でもない斜面を登りきると山頂の一角に出る。シャクナゲ沢ルートからと思われる踏み跡と合わすと鶏冠山北峰に到着。

鶏冠山北峰

北峰より南峰の方が高いので足を延ばすことにする。鞍部まで下ると固定ロープのある5メートル位の岩場になるが、足場も手掛かりもしっかりしている。その先も右側が切れ落ちた岩稜になるが、灌木がしっかりしているので慎重に行動すれば問題ない。最後に凍りかかった草付きの斜面を登りきると鶏冠山南峰にたどり着く。

鶏冠山南峰

中ノ尾根山へのルートは更に不明瞭な踏み跡が続いている。下りの草付きに備えチェーンアイゼンを着ける。これのおかげで安全に下ることが出来た。北峰に戻り、適当に笹平を目指して下る。余談であるが、笹平から右手の笹薮を下れば水場があるそうで、往復30分ほどらしい。笹平から池口岳南峰の登りになり、狭い尾根筋を登っていると右手の沢から水の流れる音が聞こえた。目を凝らすと水が流れているのが見える。距離にして30メートル程か。ただ無事に沢に降りられるかどうかは分からない。このすぐ後に単独の男性と会う。日帰りで池口岳と鶏冠山の周回コースを踏破するそうだ。元気者である。池口岳北峰に戻りテントを撤収し下山開始。

池口岳北峰より鶏冠山と笹平

下山目標午後4時、日没までには下山したい。岩場を過ぎた所で二人パーティーが登ってきた。ザラナギの少し上部にテントを張って池口岳を往復するそうだ。二日間で出会ったのは三人だけだった。

黒薙より中央が池口岳右鶏冠山

下山口まであと一時間という辺りで左の足首が痛みだす。何とか車までたどり着きヤレヤレ。かぐらの湯は定休日なので阿南町のかじかの湯で汗を流し、駒ヶ岳サービスエリアでソースカツ丼を食して帰宅する。
加加森山と光岳の間が宿題になってしまった・・・。

(記 ヨッシー)

巻機山

期 日:2019年11月3日
参加者:いずっこ、他1名(非会員)

11月3日(日)曇り
桜坂駐車場(7:07)-六合目展望台(9:10)-巻機山(10:40)-桜坂駐車場(14:12)

予定通りに宿を出発し、予定通りに駐車場に到着したが、巻機山の駐車場は一杯だった。想定外だったのは、巻機山が多くの登山者に好まれる山だということだった。駐車場手前の道路脇に駐車し出発した。駐車場から巻機山へはいくつかのルートがある。私はできるだけ違う道を歩きたい派なので、このような場合は極力周回コースにするが、今回は迷わずオーソドックスなコースである井戸尾根のピストンにした。前日に続いての登山であることと、ほかが破線ルートである沢だということが理由だった。オーソドックスなコースということでとても多くの登山者がいた。もちろん思い起こす場面はあるが、正直あまり印象は強くない。一番印象深いのは、山頂の手前の分岐には「巻機山頂」と書かれた立派な標柱があったのに比べ、巻機山の山頂が非常に殺風景だったことだ。

殺風景な巻機山山頂
立派な巻機山の標柱

石を積んだケルンにそこらへんに落ちていただろう枝が刺してあるだけ。その後分岐まで戻って立派な標柱の前で昼食を取り、下山した。

色付く登山道脇

前日に続き紅葉を期待しての登山だったが、期待していたほどキレイだとは思わなかった。同じ木々の紅葉を同じ場所から見ても年によって違う。木々も生きている。機嫌が良い時もあれば悪い時もある。次は機嫌のよい時の紅葉を見てみたい。

(記 いずっこ)

平標山~仙ノ倉山

期 日:2019年11月2日
参加者:いずっこ、他1名(非会員)

11月2日(土)晴れ
相模原=登山者用駐車場-松手山登山口(11:01)-鉄塔(11:53)-平標山(13:39)-仙ノ倉山(14:22)-平標山の家(15:53)-登山者用駐車場(17:30)

朝、北野駅で同行者をピックアップし、圏央道、関越道、国道17号を経由して平標山登山者用有料駐車場に予定より1時間近く遅れて到着した。ここは紅葉スポットとして有名なドラゴンドラの乗り場がある苗場スキー場のすぐ近く。そして時季は紅葉シーズン。冷静に考えれば道路が混まないはずがない。1時間遅れで到着できたのはむしろラッキーだった。計画していたのは南側の平元新道から入り、平標山ノ家を経由して平標山へ登って、仙ノ倉山までピストンし、北側の松手山コースで下るルート。1時間遅れてしまったことにより、駐車場に戻ってくるのは日が落ちた時刻になってしまうことが想定されるため、林道歩きが1時間ほどある平元新道を帰りにするほうが良いと判断し、逆ルートに変更して歩き始める。駐車場も、駐車場に設置されているトイレも、取りつきまでのルート表示もよく整備されている。取りつきは長い階段から始まる。傾斜は急だがここもしっかり整備されているので歩きやすい。最初のポイントである鉄塔まで来ると笹原が広がっている。そこからはなだらかな登りが続く。途中、トレイルランナーに対する注意喚起の看板がいくつもあった。見ると「谷川連峰ではランナーは風当たりを強く受ける立場…」と書かれている。私はトレランに対してあまり良い印象を持っていないが、ここまではっきりと書かれている看板を目にするとなんだか不憫に思う。今回の山行では遭遇しなかったが、普段はランナーが多いのだろう。トレランをしない私でも走り出したいと思うほど気持ちの良い登山道だ。

平標山までの登山道

平標山に到着後そのまま仙ノ倉山に向かう。

平標山から仙ノ倉山を臨む

平標山も仙ノ倉山も個人的には全く興味の沸く山ではなかった。今回も同行した“山の師匠”が以前から「いつか谷川岳から仙ノ倉山、平標山まで縦走したい」としきりに言っていたことで仙ノ倉山という200名山を知った。

仙ノ倉山山頂

平標山と仙ノ倉山の往復もトレランには最適なコースに感じた。平標山から山ノ家まではほとんどが階段だった。

山ノ家からの展望

標高差が300m強ある階段を一段ずつ下っている途中、逆ルートにして良かったとつくづく思った。山ノ家は明日が小屋終いとのことで、豪雪地帯の越冬準備で忙しそうだった。登山道を下り、別荘が立ち並んでいる林道を歩き、駐車場に戻ったのは夕暮れ時だった。ヘッデンを使うことはなかったが、総じて今回のルートで良かった。
この後、巻機山近くの宿に移動し、南アフリカとイングランドによるラグビーワールドカップの決勝を見終わってから、翌日の登山に備え床に着いた。

(記 いずっこ)

大弛峠~金峰山・北奥千丈岳

期 日:2019年10月9日(水)~10月10日(木)
参加者:ヨッシー

10月9日(水)
大弛峠(11:52)-北奥千丈岳(12:29)-国師ヶ岳(12:56)-北奥千丈岳-大弛峠

大弛峠の標高は約2360mで奥秩父最高峰の北奥千丈岳が2601m、金峰山が2599mと標高差は240m程しかない。楽ちん楽ちん。
大弛峠への長野県側の峰越林道は悪路で有名なので山梨県側から行く。駐車場は既に満車で、峠の長野県側の砂利道を少し下った路肩に駐車する。大弛小屋の前を通り、夢の庭園経由で前国師ヶ岳に行く。樹林帯の中に木道や階段が整備された道が続く。奥の庭園は露岩帯で展望が良い。前国師ヶ岳から北奥千丈岳に向かう。北奥千丈岳の山頂は富士山方面が樹林になっていて見えないが、他は開けていて展望が良い。

北奥千丈岳

前国師ヶ岳に戻り国師ヶ岳に向かう。ここからは富士山がよく見える。帰路にもう一度北奥千丈岳に登る。展望はこちらの方が良いようだ。

10月10日(木)
大弛峠(5:26)-朝日岳(6:19)-金峰山(7:08)-朝日岳(8:16)-大弛峠(9:10)

夜明け前に出発する。樹林帯の中の緩やかな登り下りが朝日岳まで続く。朝日岳からは金峰山がよく見える。金峰山の手前から樹林帯を抜け展望が良くなる。三十数年ぶりの金峰山。その時はガスでなにも見えなかった。今日は360度の展望だ。のんびり展望を満喫し大弛峠に戻る。

(記 ヨッシー)