タグ別アーカイブ: 槍・穂高連峰

<地理>飛騨山脈(北アルプス)の三俣蓮華岳から南東部、黒部川源流部および常念山脈
<主要な山>三俣蓮華岳、烏帽子岳、鷲羽岳、槍ヶ岳、奥穂高岳、焼岳、乗鞍岳、水晶岳、
常念岳、餓鬼岳、燕岳、大天井岳、蝶ヶ岳、霞沢岳

春山合宿B隊 蝶ヶ岳

期 日:2022年4月29日~5月1日
参加者:Lダイヤ、いずっこ

4月29日(土)雨
上高地(15:15)-徳沢テント場(17:00)

天気予報がよくないので早朝発の予定を変更し10時に相模原を出る。相模湖から中央道にのり松本で降りる、混雑はなかった。沢渡駐車場雨の中で身支度しバス乗り場へ、天気が悪く観光客は少ない。14:30発のバスに乗り上高地へ20数年ぶりである、雨が降っており気分はさえない。行くしかないと決意し出発、明神で休憩付近に多くのサルを見かけた。雨は降り続く見通しなので、徳沢で泊まることとしテント泊の手続きをすませる。すでに40張りほどあり適地を選ぶのに苦労する。雨の中でのテント設営でしっかり濡れてしまった、ストーブの有る休憩所で温まり着ているものも少しは乾いた(休憩所使用可に感謝)。横尾泊の予定を徳沢泊に変更したので、明日は横尾から蝶ケ岳へそして長塀尾根から徳沢へ変更とした。眠る前に雨は止んだようだ。

4月30日(日)快晴
徳沢(5:35)-横尾-稜線(10:30、蝶槍を往復)-蝶ケ岳小屋(11:55~12:50)-長塀尾根-徳沢テント場(16:30)

3時過ぎ寒くて目が覚める、満天の星である。朝食を済ませ日帰り装備で出発。

徳沢から明神岳

横尾へは迂回ルートで河原の方を進む、1時間ほどで横尾着10張り程テントがあった。これから稜線までの急登である、スパッツを着けて出発槍見平では振り返ると槍ヶ岳の雄姿が目に入った。

槍見平から槍ヶ岳

徐々に残雪が多くなり雪面も固くなってきたのでアイゼンを着けた。登山道は雪に埋もれており目印や踏み後を頼りに進んだ。急登が続きなかなかきつい、10時半横尾分岐の稜線に出る多くの登山者が休憩していた、快晴であり槍穂高をはじめよい眺めであった。雪のない稜線なのでアイゼンを外す。北アルプス・南アルプス・富士山・八ヶ岳・浅間山等々360度の展望を楽しみながらなだらかな稜線歩きである、蝶槍を往復し蝶ケ岳ヒュッテへと歩く。ヒュッテで長い時間ゆっくりした。

蝶ヶ岳ヒュッテから穂高の山並み

山頂で二人の記念撮影、眺めを惜しみつつ徳沢への下降ルート長塀尾根へ向かう。腐った雪面を滑るように下り長塀山を過ぎて徐々に急な下降となり、途中でアイゼンを着けることにした。母親と三才くらいの子が一緒のパ-ティ-と出会った、ここまで登って来たことも大したものだと思うが、これから先の登りも大変と気になった。だいぶ下り残雪が途切れ出しアイゼンを外す。久しぶりの長時間の行動に疲れも出て、急なくだりに徳沢はまだかまだかと思うようになってきてしまった。4時半徳沢着、テントは60張りを超えていただろうか。

5月1日(月)曇り
徳沢(7:05)-上高地(9:00)

時おり霧雨のようなすっきりしない空模様、様子を見ながらテント撤収。昨日の疲れが残っており筋肉痛もあり、ゆっくり歩を進める。時おり小雨であったが、雨具を着けずに上高地バスターミナルに着くことが出来た。バスで沢渡駐車場へ、帰る途中島々手前にあった「竜島温泉」に入りゆっくりした。帰りの中央道は渋滞であり、大月で降りて抜け道経由で相模原に帰った。
久しぶりの合宿参加、入山日と下山日は天気が良くなかったが中日は予報通りの快晴ですばらしい山行となり良かったです。また、いずっこの事前調査やコ-スタイム等の把握に感心しました。 

(記 ダイヤ)

春山合宿E隊 西穂高岳

期 日:2022年5月3日~4日
参加者:Lオヨシ、そうべぇ、ヒー、しげちゃん

5月3日(火)晴れ
鍋平登山者用駐車場(11:00)-西穂口(11:40)-西穂山荘(12:50)幕営

GW前半は天気が悪かったためか後半は人出も多く、高速道路は混雑していた。新穂高温泉の駐車場も例外なく、第一と無料はすでに満車であった。第二を案内されたが、鍋平登山者用駐車場に停めた。西穂山荘のテン場がいっぱいになっていないか、そればかりが気がかりだった。西穂口から山荘までの登山道にはまだまだ雪が積もっており、所々凍っていた。西穂山荘に到着するとテン場は半分近く埋まっていた。

にぎわう西穂山荘のテン場

独標まで偵察する予定だったが、独標以降も積雪混じりであることが、他の登山客の会話で確認できたので偵察はなし。翌日は雪がしまっている早朝5時より行動を開始することとし、早めに夕食を取って19時頃には就寝した。

5月4日(水)晴れ
西穂山荘(5:10)-独標(11峰)(6:15〜6:30)-ピラミッドピーク(8峰)(6:50)-チャンピオンピーク(4峰)(7:15)-西穂高岳(7:55~8:10)-西穂山荘(10:30~11:40)-西穂口(12:45)-鍋平登山者用駐車場(13:30)

準備を整えアイゼンを履いて行動開始。独標までは近いと思っていたが、意外と時間を要した。独標より先には既に3~4パーティーの姿が見えた。登山道の7割ほどが雪で覆われていた。ロープや登攀装備は持参、結果として使用する場面はなかったが、ミックスで歩きづらかったが、難易度としては夏山相当だったと思われる。厳冬期は雪庇がせり出し、登山道からも大きく外れるピラミッドピークまでの道のりも残雪期はさほど難しくはない。

ピラミッドピークに向かう

続くチャンピオンピークまでの道のりも同様である。2峰から山頂まではザレ場の急登になっており、先行パーティーは難儀していた。ほぼ想定コースタイムで山頂に到着。

振り返ると、後続パーティーがいくつも押し寄せていたので、足早に山荘へ戻る。近年、西穂高岳では滑落事故が多発しているが、特に下りでの気の緩みは非常に危険であると感じた。テン場は10時までに撤収せねばならなかったが、超過してしまったので急いで片付ける。西穂口までの登山道は緩くストックとアイゼンが欠かせない。慌ただしい下山となったが、メンバー全員が充実感を得たものになった。

(記 オヨシ)

春山合宿D隊 蝶ヶ岳

期 日:2022年5月1日~3日
参加者:Lなべたけ、わたゆき

5月1日(日)雨
沢渡大橋駐車場=(バス)=上高地バスターミナル-河童橋(10:30)-徳沢(13:00)-徳沢園キャンプ場(幕営)

天気は、前線の影響で終日降雨の予報。2日は高気圧がはりだして午前中は晴れるが、午後に強い寒気が入ってくるため、標高の高いところで悪化するとのこと(ヤマテンより)。沢渡に到着すると雨が強くなり始めた。駐車場の整理員の方から、明日からは天気が良いと声をかけられたので、午後からは悪くなるようだと応えると、「?」の様子だった。気象協会などの山の天気予報でも、終日晴れマークだったので、少し難しい予報なのかもしれない(予想天気図では高気圧に覆われる)。5月だが、森林限界を超える山域では真冬のコンディションになる可能性がある。ヤマテンに感謝!だった。徳沢まで雨がそぼ降り続けたが、ひどい降り方にはならなかった。夕刻には小雨になり、テントから出るのが楽になった。

5月2日(月)晴れのち雪
徳沢(4:15)-横尾(5:40)-横尾分岐(9:50)-蝶ヶ岳ヒュッテ-蝶ヶ岳山頂(10:50)-長塀尾根-徳沢(14:20)

当初の計画は2日目は蝶ヶ岳山頂で幕営だったが、天気の状況を考えて、アタック装備で登り(ツェルトも持参していた)、徳沢に戻る行程に変更。徳沢からメールで計画の変更を連絡した。 午前中は、晴天が確実な予報だったので、展望を期待していた。明け方に徳沢から梓川に出ると、新雪をまとった巨大な小惑星のような山が正面に現れた。

もうじき稜線に出る

前穂と北尾根を確認することができた。梓川の上流側は、快晴の明け方の空へ広がる梓川と山並みの眺めで、普段生活している同じ日本とはとても思えないスケールの風景だった。横尾からの登山道でも、槍見台から、霞がかった青空に映える槍ヶ岳を見ることができた。ゆっくり、順調に高度を上げることができた。2000m付近からは一面の雪景色になった。雪面はしっかり締まっており、アイゼン歩行で問題なくペース良く歩くことができた。横尾分岐まで登ると、青空と新雪の素晴らしい景色のなか、穂高の稜線の北側から雲が湧いてきているのが見えた。槍の穂先も雲に隠れて、少しずつ雲が迫ってきている様子だった。稜線に出ると、少し強めの風が吹き付けてきた。蝶ヶ岳ヒュッテの建物のかげで風をしのいで休憩した後、山頂へ。

向こうに山頂が見える

下山を始めると、雪が舞い始めた。下山ルートの長塀尾根は、名前通り少し長い尾根で、ゆったりと歩いた。展望はほとんどなかったので、登ってくると大変そうだったが、雪が溶けるとお花などを楽しめるようだ。

徳沢へ下山

ゆっくり順調に、徳沢へ無事に帰ってくることができた。徳沢でも次第に降雪が多くなり、夕刻には雪景色になった。

5月3日(火)晴れ
徳沢(5:30)-上高地(7:30)-バスターミナル=(バス)=沢渡大橋駐車場

朝早めに出発して上高地へ。3日から連休になり、天気も良さそうなので、上高地からの登山者とつぎつぎにすれ違った。色とりどりの登山スタイルで、風景だけでなく、登山者の様子を見るのも楽しかった。朝から快晴で、梓川の宝石ような青色の流れが、新緑と新雪の山並みと一緒に美しく映えていた。しばらく河原でのんびりして春の上高地を堪能した。

(記 なべたけ)

春山合宿C隊 弓折岳~双六岳

期 日:2022年4月29日~30日
参加者:Lヨッシー、ヒー

4月29日(金)曇りのち雨
新穂高温泉駐車場(10:40)-笠新道手前(12:55)幕営

道路渋滞のため予定より遅れて出発。すぐにA隊と別れ左俣林道に入る。林道に雪は殆ど無く、中崎橋の手前でスキーを履くがすぐに雪が途切れる。12時くらいから雨が降り始める。笠新道のすぐ手前の広場にテントを設営する。水は左俣谷から得られた。やや強い雨が夜半まで降り続き、朝方には霧雨になった。

4月30日(土)霧雨のち晴れ
幕営地(5:20)-ワサビ平小屋(5:35)-小池新道登山口(6:15)-秩父沢出合(7:20)-旧大ノマ乗越分岐(8:35)-2400m地点(10:25)-小池新道登山口(11:40)-幕営地(12:30)-新穂高温泉駐車場(14:35)

3時20分頃、奇声を発して通り過ぎる登山者がいた。笠新道に向かったらしい。外は霧雨で視界はない。熊鈴代わりの奇声なのか?テントを置いて出発。ワサビ平小屋でスキーを着ける。小池新道登山口までの間も雪が切れている所があったが、小池新道からは雪が途切れることはなかった。無駄な登りを避けるため、細いスノーブリッジを渡ったり少し藪っぽい夏道沿いを行ったり・・。秩父沢からはべったりと雪が付いており歩きやすい所を登る。

頑張って斜面を登る

天気も回復し、目指す弓折岳が見えてきた。大ノマ乗越を目指すと段々傾斜が強くなってきた。乗越が見えてきた辺りで30センチほどの落石がヒーさんめがけて落ちていく。10mくらい手前で方向が変わり事なきを得た。途中A隊と連絡が取れ、早めに下山するとのこと。下りにかかる時間や体調のことを考慮して2400mを最高到達点とする。

北アルプスの峰々

乗鞍岳から槍穂高岳の眺めを暫し堪能してから滑降開始。滑りやすい斜面だ。小池新道登山口まであっと言う間だった。幕営地に戻り一時間かけてテント撤収。ここからまた苦行が始まる。ゲートの先までオヨシが迎えに来てくれた。靴を持って貰う。助かる。ゲートまで車を上げて貰いさらに助かる。

(記 ヨッシー)

大崩山

期 日:2021年4月3日
参加者:Lヒー、ヨッシー、オヨシ

4月3日(土)晴れ時々霧
久手牧場入口(8:50)-1650m付近(10:20)-夫婦松(11:10)-2280m付近(12:35)-大崩山(13:30〜14:00)-1650m付近(16:20)-久手牧場入口(17:05)

山スキーは昨年の春以来、山行も久々。今回、初めて山スキーリーダーを担当した。大崩山(おおくずれやま)は乗鞍岳23峰の1つで、標高2523mの山スキー初級の山である。
関越道から長野自動車道に入るも、高速から見える山々にはあまり雪が残っておらず。大崩山も滑れる状態か心配したが、ここはまだスキーができそうだ。とは言え、融雪がかなり進み、牧場までの林道は板を履いたり脱いだり。

麓の林道の雪は融けている

牧場を通り過ぎて尾根に乗ってからも、雪を求めて林道と尾根を選びながら登った。

牧場を過ぎたら尾根へ

標高1600m以降は尾根にしっかり雪があった。

1600m付近の風景

暫く急登を登っていると、同じように登っている単独のおじさんに出会う。北陸の方のようで、同行の若手から初老までの方たちは隣の猫岳を目指し、ずいぶん先に行ってしまったらしい。とにかく元気なおじさんでよくしゃべる。御歳70超えなんだとか。少々疲れを感じていた私は元気をもらった!

夫婦松、松はどこにも見当たらない(苦笑)

標高1970m辺りの夫婦松でお別れして、我々は大崩山を目指す。

夫婦松で振り返ると穂高連峰が見える!

ルートは冬季閉鎖中の乗鞍スカイラインと数回交わる。雪も付いてすんなり合流するところもあれば、道路の法面が壁のように立ち塞がって回り込まないと登れないところもあった。

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乗鞍スカイラインと合流

スカイラインを4回越えると、いよいよ大崩山へストレートに登り詰める急登が始まる。

ここから長い急登

山スキー初心者のオヨシは、1年前には急登が登れずレー子さんにしごかれていたが、だいぶ上手くなってきた。ズルズルと落ちそうになると上手く転んで防いでいた。いつの間に身につけた?凄い!私なら落ちる…

着々と登っていく

しばらくするとオヨシに異変が!腿が攣って痛そうにしている。ヨッシーに芍薬甘草湯を頂きたくさん水分を補給する。しっかり休めれば良かったのだが、下りの時間も考えると時間の余裕がなく…休憩もそこそこに、山頂を目指す。

山頂までもう少し

黙々と登りなんとか山頂に着いたのだが、のっぺり広くて標柱もなく、どこが山頂なんだかよく分からない。GPSを使って1番高そうなところに立ち大満足!

ここが山頂だよね!?(笑)
左から四ヶ岳、烏帽子岳、猫岳 ねこは滑り甲斐がありそう!

山頂でお腹を満たし、シールを剥がしていざ滑走!

ヨッシーの華麗な滑り!

来たルートを戻る予定だったが、大崩山と猫岳の谷に良さそうな斜面がありルートを少し変更。スカイラインまで快適な斜面を滑り降りる。雪質は良かった!間もなく、オヨシの足が再び痛み始める。樹林帯はなるべく避け、スカイラインや林道を使って降りることにした。大崩山はそれができるから良い。オヨシは滑りながら腿が攣って暫く動けなくなったりしたが、なんとか夫婦松まで滑り降りてきた。その後、針葉樹林帯は雪面がガタガタで滑りにくいこともあって、広葉樹林帯の滑りやすそうな雪面を求めながらグングン滑った。オヨシも良い感じでついてくる、楽しい!ふと、嫌な予感がして、そっとGPSを確認した。予定ルートから3~400mほど西にいるではないか…これはマズイ。予定ルートに戻るため、ヨッシーには偵察しながら先へ行ってもらい、オヨシを連れて後を追う事にした。樹林帯のかなり急な斜面をしばらくトラバースしなければならず、技術が追いつかなくなったオヨシは板を脱いで歩いてトラバースした。雪が緩く滑り、足が痛そうで見ていてハラハラした。なんとか予定ルートにたどり着き、ホッと一息。その後は安全な林道を滑ることにした。途中、滑ったら楽しそうな斜面があり、地図を慎重に読む。林道につながることが分かり滑走!(た、楽しい!めちゃくちゃ嬉しい!)

良い斜面でした~

山スキーでは夏山以上に読図を慎重にやらねばならないと反省した。予定時刻よりかなりオーバーして下山、まだ明るくホッとした。

(記 ヒー)

双六岳~黒部五郎岳

期 日:2019年9月25日(水)~9月27日(金)
参加者:Lヨッシー

9月25日(水)
新穂高温泉(6:21)-双六小屋(13:10)

三日間の好天が約束された新穂高温泉は早朝より駐車場が満車。平日にもかかわらず登山者が多い。鏡平を経て双六小屋には13時過ぎに到着。テントも夕方には30張りほどになった。

9月26日(木)
幕営地(4:33)-双六岳(5:20)-三俣蓮華岳(6:22)-黒部五郎小屋(7:45)-黒部五郎岳(9:53)-黒部五郎小屋(11:55)-三俣蓮華岳(13:49)-双六小屋(15:33)
 
ヘッドランプを点けて出発する。双六岳の手前で明るくなる。三俣蓮華岳までの縦走路は以前裏銀座を縦走した時に歩いているはずだが、その時は天気が悪く記憶が曖昧である。三俣蓮華岳から黒部五郎小屋に向かう。こちらに向かう人は少ないようだ。黒部五郎小屋から黒部のカール(北面カール)一帯は別天地である。個人的には雲ノ平や高天ヶ原より景観が素晴らしいと感じた。念願の黒部五郎岳の山頂に立つと、太郎平までの縦走路が見えた。

黒部五郎岳

赤木岳までの間は宿題になった。帰路は稜線コースを下る。小屋で一休みして三俣蓮華岳まで登り返す。三俣蓮華岳からは巻道ルートで双六小屋まで戻る。

9月27日(金)
幕営地(5:00)-鏡平(6:45)-新穂高温泉(9:55)

夜明け前に出発する。最終日も良い天気で登って来る人も多い。順調に新穂高温泉に到着、平湯で汗を流してから帰宅する。

(記 ヨッシー)

島々~徳本峠~上高地

期 日:2019年9月7日(土)
参加者:そうべぇ

9月7日(土)
島々登山口(4:10)-二俣(5:40)-岩魚止小屋(7:20~7:35)-徳本峠(9:35~9:50)-上高地(11:20)

計画を立てては台風の影響で日程の変更、台風の影響がないだろうと思い決行しては敗退。いつできるのかと気がかりであった山行は、天気予報をチェックする毎日であった。8月の中旬から毎週末は台風が襲ってくる天気の中でやっと晴れの予報が出た。これを逃すと実行できる自信も失い、徳本峠クラシックルートへのモチベーションも下がってしまう気がした。会社から帰宅後、20時に自宅を出発。0時30分松本市役所安曇支所内の駐車場に車を止める。登山客とみられる車は3台ほどあった。車中泊で出発の予定時刻5時前まで仮眠をとるが、止めた場所が悪く少々斜めであり、うまく寝つけない。2時ごろ隣が騒々しい。トレランの男2人組が出発の準備をしているようだ。3時前にヘッドライトをつけ走って行った。徳本峠だろうか。まだ時間があるのでもう少し寝ようとするが目が冴え眠れないので、起きて出発の準備を始めた。予定より1時間早い4時過ぎに支所の駐車場を出た。  
4時10分、島々登山口である徳本峠入口とある看板の前で記念撮影。

徳本峠入口

上高地まで20kmとある。徳本峠まで16kmの長丁場だ。川沿いにしばらく進むとゲートがありその先が林道であり二俣へと続いている。ゲートはしっかりとした作りで、ゲートが開かないように鎖で幾十にも巻かれていた。熊に注意の看板もある。しっかりとしたゲートはそのためなのだろうか。ゲートを閉じ進む先を見ると後悔した。真っ暗だ。ヘッドランプがあるからといって漆黒の闇は怖い。星明かりも届かない。すぐに夜も開けるだろうと思うのだが、1時間以上は暗闇の中を進まなければならない。おまけに熊も出るようだ。熊対策として、手作りの熊よけの鈴を持参し、手首につけ意識的に鈴を鳴らしながら歩くのだが、熊に出会ったら全く役に立たない。熊に人がいることを気付いてもらい、近づいてこないように祈るだけだ。しかし鈴の音は小さく、出会ってしまってはじめて人間がいることに気がつくのだろう。暗闇と熊に怯えながら長い林道を進んでいく。島々谷川の音が細く遠くなり、緩やかだが高度を少しずつ上げていることがわかる。途中に二俣近くが崩落のため通行止めとの看板とゲートがあり車の通行を規制していた。平成30年7月豪雨のための徳本峠方面は全面通行止めと標識がある。ここで引き返さなくてはいけないのかと思い進むことを一瞬躊躇うが、行けるところまでは行ってみるかと思い進んだ。5時になってもまだ暗くヘッドランプはつけたままだ。朝はまだ来ない。川沿いの茂みでガサゴソと音がすると緊張し足が止まる。じっとして様子を伺うが気配は感じない。また、歩き出す。後ろで突然大きな音が聞こえ、何かがこっちに向かってくる。振り向くと音の正体は車だった。ライトを照らしながらカーブを曲がり、正体を現した。なぁんだ車か、本当にびっくりした。熊が恐いので車に乗せてもらおうかと思ったが、歩かなければ今回の山行の意味がなくなるので、手を上げて車を止めることはやめた。自分の臆病ぶりには正直情けなくもあり、可笑しくもあった。法面が大きく崩落している箇所があった。ここが崩落現場のようである。すでに林道は整備され車も通行可能である。ここからしばらく歩くと二俣だ。5時40分に到着した。山の稜線ならばすでに山は目覚めているはずなのに、あたりの様子はうかがえる程度には見える。ここは谷、 島々谷はまだまだ眠そうだ。暗闇から解放されたおかげだろうか、熊との出会いの心配も少し薄らいだ。先ほど出会った車が止まっている。作業員の車だろうか。二俣からは南沢に沿って登山道を進んでいく。沢の水量も多く、最近の降雨量の多さを物語っている。沢は綺麗だ。登山道は細いのだが、綺麗に整備されている。その昔、岳人たちが上高地に入るためにこのルートをよく利用していたことがうかがえる。登山道はUp, Downを繰り返し徐々に高度を上げていく。斜面が崩れ登山道も流されているところもあり慎重に通過する。登山道が狭く、ふらついたりすると沢に落ちてしまう危険もあるので足元に注意をしながら通過する。いくつかの橋を渡り岩魚留小屋に7時20分に到着した。9時30分に到着の計画を立てていたのだが、1時間前倒しに登山口を出発しているとはいえ、7時20分到着は随分と早いなと思った。しばらく休憩し先を進む。中ノ沢、障子川瀬沢を過ぎる。枝沢であるが水量は多い。登山道は枝沢から溢れた水で水没しているところもあった。本谷と峠沢の分岐から峠沢沿いに登っていく。スマホのアプリで標高を確認すると1747mだ。登山口の標高が730mほどだったのでちょうど1000mほど登ってきたことになる。しかしそんなに高度を稼いだ気にならない。不思議でしょうがない、なぜだろう。谷に光が差し込み始めたのもこの頃からだ。遅い目覚めである。沢の音が遠くなり始めたころからジグザグの急登が始まる。これを登りつめると峠なのだと思うとワクワクした。木々が低くなり、青空が近づく。もうそこが徳本峠だ。目の前が開けた。穂高連峰が飛び込んできたと期待したのだが、目に飛び込んできたのは徳本小屋だった。徳本峠クラシックトートの醍醐味は、峠に上がった時に穂高連峰が目に飛び込んでくる素晴らしさと聞いていたが、そうでもなかった。小屋が新しくなった際に古い小屋を前に移動させたのではないだろうか。峠も様変わりしている。穂高を望む望遠鏡も取り払われていた。峠自体も少し狭くなったよう気もする。そのせいで穂高連峰の見え方も違ってきたのだろうか。9時35分に徳本峠に到着した。

徳本峠

小屋番に先日(8/16)の台風の通過後の情報を聞いたら、濁流で橋が流されていたため、登山客が登れなかったそうだ。あのまま、島々まで降っていたら途中で引き返すことになっただろう。上高地に下山の判断をしてよかったと思った。無理はせず、不安な状況であれば回避する。回避手段はいろいろあるが、習慣にしたいものだと思った。しばらく峠で穂高連峰を眺め、9時55分に下山を開始、11時20分に上高地に到着した。

上高地

コースタイムを3時間30分ほど早く到着したことになるが、特別無理をしたとも思えない。地味な山行だったが懐の深い谷を満喫した。単独もまた、楽しい。

(記 そうべぇ)

 

上高地~徳本峠

期 日:2019年8月16日(金)~8月17日(土)
参加者:Lそうべぇ、メイメイ

8月16日(金)
島々・安曇支所前(6:06)=上高地(7:05~8:00)-徳本峠(11:30)

徳本峠クラッシクルートは島々谷から上高地に抜ける峠道。古く歴史に残る名門ルートである。上高地までの道が開通していなかった当時は、島々谷からこの峠道を経由し上高地まで2日ほどかかり歩かれていた。その距離は20km。釜トンネルの開通以降バスで上高地まで入れるので、今では上高地が北アルプスの起点となり、この峠道は忘れられたような存在となっているのではないだろうか。その分静かな山歩きができることが期待できる。私は、50周年記念山行の計画中にも、上高地から松本駅までの国道をランニングすることを考えていた。地図を一緒に見ていたさっちが、「徳本峠越えのクラシックルートは憧れなんだよね。」との一言でこの山行を計画した。8月の爽やかな夏を感じながらの峠越えを期待した。
8月4日に発生した台風10号(Krosa)は発生時点で「大型」の台風であった。私たちの山行は16日なので、台風一過の爽やかな山歩きができると信じていた。台風ははじめマリアナ諸島近海を北西に進んでいたが、8日頃から11日頃にかけてほとんど停滞し、8日には勢力のピークを迎えた。その後徐々に勢力を落とし、11日昼ごろから再び北西に進み始めたものの衰弱していった。暴風域が消滅した12日には平成29年の台風21号以来の「超大型」の台風となったが強風域が縮小し「大型」の台風に戻りつつ再発達した。勢力は弱まったものの太平洋沿岸においては風が強まり、高知県の室戸岬では15日8時に最大瞬間風速41.1メートルが観測された。中国地方を暴風域に巻込みながら豊後水道を北上、15日11時には愛知県佐多岬半島を通過。その後も勢力は衰えることなく同日15時ごろ広島県呉市付近に上陸した。その後台風10号は日本海に抜け、日本海を北上し16日21時に北海道の西、北緯43度、東経138度で温帯低気圧に変わりその後消滅した。横浜からの移動中の車の中では「台風の影響はないよね。」「ない!ない!」。と何度も自問自答を繰り返し、松本に向かったのであった。島々谷から峠越えが正しいルートなのだが、台風の影響で登山道が荒れているのではないかと思い、逆ルートの上高地から入山することにした。台風の影響を多少心配しての配慮だった。安曇支所駐車場(無料、届け等の連絡不要。自己責任で駐車可能)で仮眠中に雨が降ったが翌朝出発時には雨は上がっていた。
安曇支所前バス停からバスに乗り上高地に向かった。雨は徐々に降り始め、上高地到着時には本降りの雨になっていた。それでもまだ雨は上がると信じた。雨が降っているのに登山者や観光客で静かに賑わい、私たちもカッパを着込み徳本峠へと向かった。久しぶりに歩く上高地は懐かしく、小梨平のキャンプ場、明神へと歩きながら昔登山に来ていた頃を思い出していた。カッパを叩く雨音が強く、歩きながらの会話もままならず黙々と歩く。「さっちは楽しいのだろうか。きっとつまらないだろうな。」などと想像しながら歩いているうちに徳本峠に到着した。あっと言う間だった。

徳本峠

テント場にはテントが一張り張られていた。私たちもテント泊予定だったが、土砂降りの雨に濡れ寒く、テントを張る元気も気力もモチベーションも無くなっていたので徳本峠小屋へ泊めてもらうことにした。小屋番と島々谷から峠越えの話をしたら、台風の影響で沢が決壊しているかもしれないので、明日の下山に利用するのは控えた方が良いとのアドバイスがあった。無事に山小屋に泊まれ、やることも無く午後はのんびりとお酒で温まりながら夫婦水入らずで、山談義を楽しんだ。

8月17日(土)
徳本峠小屋(6:20)-ジャンクションピーク(7:18)-徳本峠(8:15)-上高地=島々安曇支所前(11:15)

17日は雨も上がっていたので峠から島々谷への下山も考えたが、小屋番のアドバイスに従うこととした。知った道、先人の経験と知らない道、無知から起こるリスクは計りしれない。このまま、上高地に下山するのももったいないので、霞沢岳への途中にある2428mのジャンクションピークまで行ってみることとした。山小屋に泊まっていた私たちより年配のお姉さまたちが、楽しそうに会話をしながら登っている。霞沢岳まで往復し今日も峠に泊まる予定だとのこと。私たちも時間が取れるようになったら「いっぱい山に登ってやるぞ!」と思いつつ上高地まで下山した。

(記 そうべえ)

烏帽子小屋~裏銀座~上高地

期 日:2019年8月9日(金)~8月12日(月)
参加者:レー子

8月9日(金)晴れ
七倉山荘=高瀬ダム(6:00)-ブナ立尾根取付き(6:27)-三角点(9:10)-タヌキ岩(9:20)-烏帽子小屋(10:36~10:52)-三ツ岳(12:33)-野口五郎小屋(14:08)

前夜23:00新宿発の毎日アルペン号に乗車する。バス乗り場には各方面に向かう登山者が大勢集まっており、行き先別に順次到着するバスにそれぞれ乗り込んで出発して行く。乗車予定のバスは七倉、扇沢で乗客を降ろしたあと、白馬方面に向かうと思っていたが、七倉までの乗客が多いため、大型バス1台が全員七倉行きとのことで、寝過ごす心配もなくなった。やや遅れて出発し、間もなく消灯となったが、途中3回もトイレ休憩があり、睡眠不足の状態で七倉に到着した。予定通り3時45分の到着のため辺りは真っ暗だったが、7月会山行で来ているので、トイレの場所など勝手が分かり助かった。高瀬ダムまでのタクシーは5時30分にゲートが開かないと入れないが、ゲートの前で出発準備をし、歩いて高瀬ダムに向かう人達もいた。
5時過ぎにタクシー数台が上がってきて、大勢の客を乗り合いで乗せて行くため、一人700円で高瀬ダムに行くことができた。
ダムから30分ほどトンネルや河原を歩くと北アルプス3大急登と言われるブナ立尾根の登りが始まる。朝から日差しは強かったが、しばらくは樹林帯のため急登とは言え、強い日差しの稜線歩きに比べると楽だった。ブナ立尾根には取付きが10番から烏帽子小屋が0まで途中に番号がふられており、2208.5mの三角点が4番で半分を過ぎたことに安堵する。多くの登山者は小屋泊りらしく小さなザックで登っており、テント泊のザックではペースは上がらない。脱水に注意してこまめに経口補水液を飲む。途中ですれ違ったパーティは一昨日ヒョウに降られ、低体温症になると思ったとのこと、こんなに暑いのに山の天気はやはり怖いなと思う。
ようやく烏帽子小屋に到着。烏帽子岳の山頂は省略して先を急ぐ。あとは急登もなく楽しい稜線歩きと思っていたが、雲ひとつない青空、11時を過ぎ暑さもピークとなり、睡眠不足の体にはひどくこたえる。三ツ岳への登りで70歳過ぎと思われるご夫婦とすれ違う。昨日奥黒部ヒュッテを出て12時間かけて読売新道を登り、今朝水晶小屋を出てブナ立をこれから下るとのこと。赤牛岳を眺めながら楽しそうに話してくれる二人を見ていると、諦めかけた読売新道も行けそうな気がしてきた。ただ、ご主人からはザックが大きすぎるよと最後に指導を受けた。
読売新道を眺めながら野口五郎小屋に向かうが、いつまで経っても小屋は見えない。過去の記憶では烏帽子小屋から野口五郎小屋はすぐだったはずだが・・・。途中走ってきた烏帽子小屋で働く青年に追い越され、野口五郎小屋で用事を済ませて戻る彼と再び出会った時、あと1時間あれば着きますよ、と言われ愕然とした。それでもなんとか1時間かからず小屋にたどり着くことができた。
以前来たときは小屋の前がテント場で幕営できたが、テントが風で飛ばされるなど事故も多いことから国に返還したとのこと、今見ると大岩がゴロゴロしており、とてもテントを張れるような場所ではない。しばらく小屋の外でのんびりしながら、小屋の方や救助隊の方と話をしたが、やはり一昨日はこの辺り一帯でヒョウが降ったとのこと、小屋の周りの写真も見せてもらったが、地面が隠れるくらい積もっていた。
テントの装備を背負っているが、幕営禁止のため本日は慣れない小屋泊り。食糧、燃料の装備を減らそうと夕食付で予約しておいた。平日と言うこともあってか小屋は空いていて、女性部屋はもう一人の単独の女の子と二人きりでゆったりできた。睡眠不足を解消するため早々に寝る。

8月10日(土)晴れ
野口五郎小屋(4:30)-野口五郎岳(4:50~4:57)-真砂分岐(5:33)-東沢乗越(6:48)-水晶小屋(7:50~8:00)-ワリモ岳分岐(8:34)-ワリモ岳(8:57)-鷲羽岳(9:40~9:52)-三俣山荘(10:45~10:55)-三俣峠(11:40)-三俣蓮華岳(12:03~12:10)-双六岳(13:35~13:409-双六小屋(14:30)

今日は何とか双六まで行きたいと、薄暗い中出発。野口五郎岳では任務の写真を撮らなければならないが、ちょうど相部屋の女の子がおり、記念手ぬぐいとともに写してもらう。

野口五郎岳山頂

水晶小屋までは人も少なく槍や赤牛岳、昨年行った薬師岳、剣岳など眺めながら、北アルプスの中心にいることを実感する。昨年秋、湯俣の橋が流され竹村新道は通行止めとなっていたが、昨日野口五郎小屋の情報では、橋の修復で昨日から通行可能になったとのことで、竹村新道の分岐には特に何の記載もなかった。水晶小屋まで来るといっきに人が増えた。山頂を往復すると1時間かかるため、次回読売新道まで取っておくことにして先を急ぐ。以前来たときは鷲羽岳に登らず雲ノ平に向かったため、今回は必ず鷲羽のピークを踏まなければならない。暑さ厳しくなりピッチは上がらないが、ようやく山頂に立つことができた。

鷲羽岳

こんなにそそり立つ険しい山なのに野口五郎岳より0.1m低いなんて。山頂からは三俣山荘のテント場がよく見える。まだ10時なのにたくさんのテントが張られている。三俣山荘で水を補給し三俣蓮華岳の山頂を目指す。過去に双六小屋ベースで山スキーに2回来ているが、黒部源流を滑りベースに戻ってもそれほど時間はかからなかったと記憶しており、三俣蓮華の山頂から眺める双六はすぐそこ、と思い歩き始める。

三俣蓮華岳

しかし緩やかな稜線にもかかわらず、暑い、重い。やはりスキーの機動力はすごいな、双六に来るなら山スキーしかない、などと考えながら苦行に耐える。山頂への最後の登りでライチョウの親子に遭遇。人が多すぎるためか、今回の山行でライチョウを見たのはこの時1回だけだ。

双六岳

ようやく双六岳山頂に到着し、記念撮影を済ませると、テント場が混まないうちにと急いで下る。だいぶ足にも疲れが溜まり、途中のザレで滑って後ろに転んだ際、ストックがザックの下敷きになり途中で折れてしまった。締める位置をずらして使用は可能だったが、こんなに簡単に折れてしまうのかとちょっと残念。14時30分、双六小屋到着。広いテント場だが、すでにテントはいっぱい。なんとか隙間を見つけてテントを張る。その後も薄暗くなるまで続々と到着し、条件の悪そうなところにも張っている。野口五郎小屋では小屋の外で立山方面を向くとスマホが使えたが、双六小屋では全く使用できず、台風10号の位置が分からないが、昨日の台風情報からするとなんとか下山まで天気は持ちそうだ。

8月11日(日)晴れ
双六小屋(4:40)-樅沢岳(5:13~5:26)-硫黄乗越(5:57)-左股乗越(6:49)-千丈沢乗越(8:13~8:20)-槍ヶ岳山荘(9:30)-山頂往復(9:55~11:10)-槍ヶ岳山荘(11:20)-殺生ヒュッテ(11:49)-播隆窟(12:03~12:13)-天狗原分岐(13:00)-大曲(13:35)-ババ平(14:00~14:10)-槍沢ロッジ(14:39~14:45)-二ノ俣(15:05)-一ノ俣(15:13)-横尾(16:01)

風もない静かな夜だった。空には満天の星。槍の肩まで行けば今回の山行は終わったようなもの、あと一頑張りと今日も薄暗い中を出発。初めての西鎌尾根、ずっと槍を眺めながらの稜線歩き、徐々に槍が大きくなってくる。千丈沢乗越の手前に何ヶ所か鎖場があるが、特に危険な場所はない。ただ歩きなれない登山者が下りで石を落とす場面があり、人為的な落石には注意が必要だ。
千丈沢乗越からは飛騨沢がよく見える。以前春合宿で志木さんと二人、飛騨乗越までの急な登りを帰りは楽しく滑ったことを思い出す。緩やかな稜線歩きからいきなり急な登りが始まる。富士山の九合五勺からの登りのようにピッチが上がらない。コースタイムでは2時間となっているが、なんとか1時間10分で肩までたどり着くことができた。小屋の周りは大勢の人で西鎌尾根とは別世界。山頂まではまだ渋滞していないようなので、休憩もそこそこに山頂に向かう。槍の山頂はヘルメット着用推奨で強制ではない。ここだけのために持ってくるのも荷物になるので持参しなかったが、石を落とされても困るので小屋で500円支払ってレンタルのヘルメットを借りた。登り始めると渋滞が始まり、結局登って降りるのに50分かかったが、山頂は快晴で360度の展望を楽しむことができた。

槍ヶ岳

小屋にヘルメットを返しに行くと、槍ヶ岳山荘のテント場は本日満席と書かれていた。計画では本日殺生ヒュッテ幕営としていたが、時間的に早いためババ平まで降りることとして下山を開始。登ってくるテント泊と思われる人には、上はもう一杯ですよと声を掛けながら下った。殺生ヒュッテのテント場はまだ余裕があったが、幕営予定のババ平は幕営禁止と書かれている河原までぎっしりテントが張られており、あきらめて横尾を目指すこととする。この時間になってもまだ登ってくる人が多く、今日はどこまで行くのかと心配になってくる。槍沢ロッジの前もあふれるほど人がいて、ゆっくり休むこともできない。やっぱり夏は沢だな、とつぶやきながら横尾に向かうが、3日間の疲れが溜まってピッチが上がらない。16時横尾到着、長い1日だった。横尾のテント場も混んでいるが、それでもまだ双六やババ平に比べれば、まだまだ余裕がある。ここは登山者よりもキャンプ目的で来ている家族連れが多い印象で、幕営地と言うより水もトイレもビールも豊富なキャンプ場。最後の夜を楽しもうと思ったが、ひとりのテントはすることもなく、疲れも手伝って早々に寝てしまった。

8月12日(月)晴れ
横尾(5:00)-徳沢(5:55~6:05)-明神(6:48~6:55)-上高地(7:37)

上高地はすぐそこ、最後の歩きをのんびり楽しめば良いのに、なんだか早く帰りたくなって5時に出発。徳沢のテント場もにぎわっていた。まだ7時30分だというのに河童橋には多くの観光客や登山者がいた。

上高地

お風呂に入りたいが小梨平のお風呂はまだ営業しておらず、上高地温泉に向かったが、五千尺ロッジの入口に貼られた入浴案内では結構距離があるようだ。いちばん近いのがバスターミナル横にある上高地インフォメーションセンター内のコインシャワーだと分かりバスセンターに向かう。きれいな施設で朝早いこともあり誰もおらず快適。はじめに施設使用料100円を支払い、お湯は3分で100円。6分200円で4日間の汚れをきれいに落とすことができた。お土産を見る暇もなく新島々行きのバスに乗り帰路に就く。4日間好天に恵まれ、雨具を着ることもなく裏銀座を楽しむことができた。

(記 レー子)

上高地~蝶ヶ岳~常念岳~大天井岳

期 日:2019年7月13(土)~7月15日(月)
参加者: A隊オヨシ B隊ヒー、他1名(非会員)

7月13日(土)曇りのち雨
A隊 三股駐車場(11:00)-三股(11:20)-蝶ヶ岳(14:40)-蝶ヶ岳ヒュッテ(15:00)

B隊を沢渡に送った後に三股登山口へ。雨予報の影響か、三股方面の利用者はさほど多くなく駐車スペースに停めることができた。連日の雨で足元は湿ってはいたが、気にするほどではない。登り始めて30分ほど経つと、投稿でよく目にする「ゴジラの木」が登場。珍しい自然の造形美である。

ゴジラの木

蝶ヶ岳までは緩急入り交じる登り一辺倒。歩荷であったがペースを下げずに黙々と登り、先発パーティに道を譲ってもらう。山頂はあいにくの霧だが、穂高連峰や槍が時折見える。一方、稜線上は冷えて風も強いため、テントを立てる位置も細心の注意を払った。ほどなくしてB隊が到着、翌日に備えて早めに身体を休める。


B隊 上高地(10:15)-徳沢(12:00)-長塀山(16:00)-蝶ヶ岳(17:00)-蝶ヶ岳ヒュッテ(17:10)

上高地は観光客が大半で賑やか、明神池以降は静かだった。

上高地からスタート

徳沢からいよいよ登山道となり、人気がなくなった。急登の樹林帯がしばらく続いた。傾斜が緩くなったあたりから、イワカガミなどのたくさんの高山植物が咲いていて、急登の疲れを癒してくれた。長塀山は展望がなかった。そこから少し歩くと、花が沢山咲いたメルヘンな池に着いた。妖精の池だ。

妖精の池

ついつい寄り道が長くなってしまう。心配したか、オヨシが迎えに来た。寄り道がバレてしまった。妖精の池から少し進むと急に視界が開けて、槍・穂高がドーンと目の前に現れた。

急に姿を現した槍・穂高連峰

間もなくして蝶ヶ岳の山頂に到着した。

蝶ヶ岳山頂

7月14日(日)曇りのち雨
A隊 蝶ヶ岳ヒュッテ(7:30)-常念岳(11:00)-常念小屋(11:45~12:45)-大天井岳(14:50)-常念小屋(16:20)

深夜に降り始めた雨は朝方まで続いたものの、徐々に弱まってきたので出発。蝶槍を過ぎた頃から対向のパーティとすれ違い始める。多くのパーティが蝶槍手前から横尾へ下山、もしくは蝶ヶ岳ヒュッテまで戻って徳沢へ下山するようだった。2時間ほど経過して最低鞍部に到達。ここからは岩稜登りが続く。相変わらずの濃霧だがしっかり目印も見え、岩の隙間も小さく思っていたより歩きやすかった。山頂に到達すると10名以上のパーティがくつろぎ道をふさぐ。写真撮影のために場所を空けてもらったが、とたんに雨風が強くなる。手拭いを広げながらの自撮りでは困難であったので記念写真はB隊に託し、足早に常念小屋に向かう。小屋に到着すると曇り空になってきたが、周囲の山々はガスで見えず。天気も夕方までもちそうなのでB隊が到着するまでに大天井岳までのピストンを決行。登山道は比較的整備されており、順調に飛ばす。

大天井へ向かう途中の雪渓

常念小屋を出て2時間ほどで大天荘に到着。そのまま向こうの大天井岳のピークへ登り詰め、タイマーで記念撮影。

大天井岳山頂

水分を多めに取り、同じ道を引き返す。15時を回っていたので、当然、誰ともすれ違わず。またも常念小屋まで孤独な時間であった。夜中にかけて、次第に雨足は強くなる。


B隊 蝶ヶ岳ヒュッテ(8:00)-常念岳(14:00)-常念小屋(15:30)

計画時に1泊での下山も考えたが、雪渓の様子が分からないのと同行の父親の体力を考え、安全第一で2泊とした。終始ガスっていたが時折、パーっと視界が開けて槍・穂高が顔を出した。とっても絶景だったが、カメラ不調で撮れず残念。

常念岳前の岩稜帯

蝶ヶ岳から常念岳は、アップダウンが続き疲れた頃に岩稜帯があるので初心者は要注意。後半は休み休み、ゆっくりと進んだ。

常念岳山頂

常念岳山頂では、雷鳥の親子が迎えてくれた。

子供を見守る親雷鳥

7月15日(月)曇り時々雨 
A隊 常念小屋(7:30)-前常念岳(9:00)-標準点檜跡(10:00)-三股(12:05)-三股駐車場(12:30)

天気は回復せず霧雨の朝に。最終日も時間との戦いになる。常念小屋に三股からの下山を自粛するような貼り紙があるためか、ほとんどのパーティは一ノ沢へ向かう。常念岳山頂と三股への分岐にさしかかると、雷鳥の親子に遭遇。10羽ほどで列をなす雛鳥たちの姿にとても癒された。気を引き締め、核心部である前常念岳に向かう。巨石が乱雑に並び、足を滑らせると隙間に落ちて身動きが取れなくなる箇所がいくつもあり、常念小屋の貼り紙にも納得できた。

前常念岳を振り返る

前常念岳山頂を過ぎても暫くは巨石で急な下り、一瞬たりとも気を緩めることができない。順調に高度を下げて樹林帯に入るも、前日の雨でぬかるみが続く。大きな檜の倒木(標準点檜跡)を過ぎると、水溜まりはさらに大きく、むき出しの根も増え、思うように早く下ることができない。退屈に感じながらも集中力を切らして転倒しないよう注意しながら黙々と歩く。沢の流れが聞こえ始め、間もなくして登山口に到着した。急いでB隊を迎えに一ノ沢登山口へ車を走らせる。


B隊 常念小屋(8:00)-一ノ沢登山口(12:30)

常念小屋の宿泊客はほとんどがこのルートを使って下りるようだ。安全第一で慎重に下山した。心配していた雪渓は登山道上にはほとんどなかった。一ヵ所雪渓を渡ったが、薄くなっていて逆に不安を感じたほどだった。

一ノ沢の雪渓

ここ数週間で人が入り、雪解けが進んだようだ。上部はまだまだ雪渓が残っていてとても綺麗だった。

(記 A隊オヨシ B隊ヒー)